「宿泊税は一考の価値」 奈良市、監査人が指摘 過去に導入失敗の経緯
奈良市が公表した令和6年度の包括外部監査結果報告書で、監査人は相次ぐ同市内でのホテル開業を踏まえ「宿泊税導入には一考の価値がある」との意見を付けた。市は過去に導入を試みたものの失敗に終わった経緯がある。外部の専門家に指摘されることになり、今後の議論が注目されそうだ。
6年度は基金に関する監査が行われ、監査人は「市観光振興基金」で意見を付けた。
市は観光都市として国内外から多くの観光客を受け入れており、「環境の維持・整備には少なからず財源が投入されている」と指摘。観光客を受け入れつつ市民の生活を守る必要があり、「奈良の魅力アップ、観光サービス・インフラ充実などの観光振興を図る施策のための財源を安定的に確保することが望まれる」と述べた。
さらに同市内で「紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良」「ふふ奈良」「JWマリオット・ホテル奈良」といったホテルの開業が相次ぐ状況を踏まえ、大阪府や京都市などの観光に注力する自治体が宿泊税を導入した事例にならい「市内に宿泊する観光客に宿泊税を負担してもらい、同基金に積み立て、しかるべき事業の財源に充てることは一考の価値がある」としている。
奈良市は元年に宿泊税の検討懇話会を立ち上げたが、宿泊事業者や市議会が反発。6年度予算案にも懇話会に関連する予算を計上したが、市議会が認めず、立ち消えになっている。