「石を割るのがどれほど難しいか知った」 石器作りに挑戦の高校生奮闘紹介 橿原市博物館

1年近くかけて作った石器を前に古代人に思いをはせる生徒たち=橿原市博物館
高校生が1年近くかけて石器作りに挑戦した姿を追いながら古代人の技術に迫る企画展が、奈良県橿原市川西町の「歴史に憩う橿原市博物館」で開かれている。生徒たちが、数万年前の旧石器時代から利用された二上山産のサヌカイトを加工した石器とともに、失敗作も含めて約60点を展示。「石を割るという単純作業がどれほど難しいか身をもって知った」。高校生の奮闘ぶりを物語るユニークな展示となっている。6月22日まで。
同館は平成28年度から、地元の県立橿原高校考古学研究部と連携し、考古学の魅力を伝える企画展を毎年開催。今回は、「肉が切れるような石器を作りたい」との部員の声があり、石器をテーマとした。
材料となるサヌカイトは、大阪と奈良の府県境に位置する二上山が西日本有数の産地。1300万年前の火山活動で溶岩が固まって形成され、鋭角に割れることからナイフなどに使われた。
石器作りは、二上山麓にある奈良県の香芝市二上山博物館の協力を得ながら昨年4月末にスタート。石器は、石を適度な大きさに割ってから刃の部分をとがらせて仕上げるが、まず石を割ることができなかったという。

生徒たちが苦心しながら割ったサヌカイトの破片
「力いっぱい石をたたいたがゴツッ、ゴツッという鈍い音がするだけでほとんど割れず、小さい破片が飛び散るばかりだった」と2年の中島睦貴(むつき)さん(16)。二上山博物館の担当者から石をたたくコツを教わり、部員たちがうまく割れるようになったのは昨年月ごろ。中島さんは「『石の目』という筋に沿って力を抜いてたたくと、キーンという金属音とともにきれいに割れた」。
石器作りの際には石をたたく音も録音し、企画展会場で再生している。部長で3年の麻生彩斗(さいと)さん(17)は「ふだんは静かな博物館で、あえて石の音を流すことにした。音の違いに耳を傾けてもらって、石器を作っている気分になってほしい」と話す。
月曜休館。大人300円、高校・大学生200円、小中学生100円。問い合わせは同館(0744・27・9681)。