保存活用へ機運高めて 橿原市、県内初の世界遺産条例制定へ 啓発フラッグも設置

建物跡などが柱で復元された藤原宮跡=橿原市
橿原市は2日、来年の世界文化遺産登録を目指す「飛鳥・藤原の宮都」について、市民に関心を高めてもらおうと「橿原市世界遺産条例」を制定すると発表した。5日開会する6月定例市議会に条例案を提出する。市によると、世界遺産に特化した条例は県内では初めて。市内には国内初の本格的都城の藤原宮跡などがあるが、高松塚古墳で知られる同県明日香村と比べて認知度が低く、条例を機に保存活用へ機運を高めたいとしている。
「飛鳥・藤原の宮都」は明日香村、同県桜井市を含めて19の歴史資産からなり、橿原市には藤原宮跡や菖蒲(しょうぶ)池古墳など4つがある。
市の条例案は11条からなり、基本理念として「世界遺産が有する顕著な普遍的価値を維持・向上させ、将来世代へ確実に引き継ぐこと」と明記。市は、適切な保存活用を図るため必要な措置を講じるとし、市民らに対しても世界遺産の周辺環境の保全への配慮などを求めている。市議会で可決されれば8月1日から施行するとしている。
飛鳥・藤原の宮都については、今年1月に政府から国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦書が提出され、夏ごろにはユネスコ諮問機関の現地調査が予定されている。亀田忠彦市長は「このタイミングで条例を制定して機運を高め、景観保全や藤原宮跡の公有地化をさらに進めたい」と話した。

ストリートファイターのキャラクターがデザインされた啓発フラッグ=橿原市内
また、市は世界遺産について歴史ファン以外にも知ってもらおうと、市役所近くの国道165号沿いに人気格闘ゲーム「ストリートファイター」のキャラクターを描いた啓発フラッグを設置した。担当課は「20人分のキャラクターが登場するので、歩きながら楽しんでもらえれば」としている。