173億円赤字見通し 県立病院機構の中期計画見直し案 経営改善策盛る
県は、総合医療センター(奈良市)などを運営する県立病院機構の第3期中期計画(令和6~10年度)の見直し案を公表した。5年間の収支計画では修正前より大幅に多い約173億円の赤字となる見通し。質の高い医療を安定的に提供するため、経営改善に向けて医業収益のアップなどを盛り込んでいる。
県立病院機構は平成26年に設立された県が出資する地方独立行政法人で、総合医療センターや西和医療センター(三郷町)などを運営している。
新型コロナウイルスの感染拡大と5類移行に伴う国の財政支援の減少が影響したほか、物価高騰による医療材料費や人件費の増加などで経営が悪化し、令和5年度決算でこれまでの累積赤字は約137億円。中期計画では、今後の赤字額は修正前は億円程度を見込んでいたが、見直しによってさらに膨らみ、約173億円の見通しとなった。
経営改善策としては、医業収益の増や給与費比率、材料費比率の低減に評価指標を掲げて取り組む。医業収益では、病床稼働率の上昇やリハビリ診療の充実などを挙げている。
県病院マネジメント課の担当者は「医療サービスの質を維持しつつ、同規模の病院と比べながら経費を抑えるべきだ」と説明する。山下真知事は「こうした中期計画を出さざるを得ないのは不本意。収入を上げて経費を節減するしかなく、細かなことを積み重ねるしかない」と話した。
見直し案は開会中の県議会6月定例会で審議される。