旧吉川家住宅で戦時下のくらし展 「モノとコトバ」当時の日常語る

出征旗を持つ子供のマネキンなどで戦時下の様子を再現している=大和郡山市
県立民俗博物館(大和郡山市)は、隣接する大和民俗公園の旧吉川家住宅で、戦時中に実際に使われたものや当時を生きた人々の証言を紹介するスポット展「戦時下のくらし|モノと証言から80年前の生活をみる|」を開催している。30日まで。
同館は毎年この時期に同展を開催しており、今年は戦後80年という節目に合わせて、旧吉川家住宅すべてを使って「モノとコトバ」をテーマに展示している。
住宅内では、真珠湾攻撃(1941年)、マレー作戦(同)、サイパン玉砕(1944年)など戦局を伝える音声を放送。さらにマネキンで、出征旗を持ちながら「バンザイ」と言って兄を戦地に送り出す子供や、戦場での無事を祈る「千人針」をたすきにさす母親の傍らで無邪気に絵本を読む子供の姿を再現しており、戦局とともに変わりゆく戦時中の日常を体感することができる。
また、県立図書情報館が所蔵する「戦争体験文庫」から地域の記録を抜粋したパネルも展示し、「男は背広が国民服と戦闘帽に変わり、女は筒袖にモンペ姿となって、色どりのない灰色の世界となりました」「登校するにも教科書は必要なく、モンペ姿に防空頭巾、肩からは救急薬品を入れた雑納袋を下げ通学」などと当時の様子を紹介している。さらに、出征軍人の家の表札や国防婦人会のたすき、金属回収によって鉄釜の代わりに使われていた土釜なども並ぶ。
学芸員の石橋諒さんは「当時の様子を語る人が減る中、展示を通して改めて平和について考えてもらうきっかけになれば」と話している。
開館は午前9時~午後4時。23、24、30日の午前11時と午後2時からは学芸員による30分間の解説あり。25日休館。無料。問い合わせは県立民俗博物館(0743・53・3171)。


































