満州国皇帝・溥儀奉納じゅうたん初公開 橿原神宮宝物館で25日まで

溥儀が奉納したじゅうたん=橿原市
初代・神武天皇をまつる橿原神宮(橿原市)の宝物館で、戦後80年にちなんだ企画展「神武天皇と平和への願い」が開かれている。先の大戦で同神宮は空襲を受けず、明治23年の創建以来の資料が今に伝わる。昭和15年に満州国皇帝・溥儀(ふぎ)が奉納したじゅうたん、20年8月15日の終戦に際して「慟哭(どうこく)ス」と記された当日の社務日誌など65点を展示。建国の地に鎮座する同神宮への人々の信仰心がうかがえる。25日まで。(小畑三秋)
同神宮は戦前、首相や閣僚が就任などに際して参拝したことで知られ、企画展では昭和12年に近衛文麿(ふみまろ)首相や広田弘毅(こうき)外相が訪れた際の記帳を展示。神武天皇即位2600年にあたる昭和15年の「皇紀2600年」に合わせて溥儀が参拝し、最高級の羊毛を用いたじゅうたん22枚を奉納した。総重量3・5㌧にのぼるといい、そのうち1枚が初公開されている。

「内閣総理大臣 近衛文麿」と記された参拝時の記帳
この年には正月三が日だけで全国から約125万人が参拝し、国威発揚にもつながった。参拝者向けに多くの土産物が販売され、企画展では、鉾(ほこ)の形をした飾り物や赤膚(あかはだ)焼の武人埴輪(はにわ)などが並ぶ。今も橿原の名物となっている「埴輪まんじゅう」は皇紀2600年に合わせて誕生し、地域とのつながりも分かる。
同神宮の日々の業務を記録した社務日誌も完全に残り、20年8月15日の日誌には、玉音放送を聞いた後「全員襟ヲ正シ慟哭ス」と記載。展示を担当した長谷川怜・皇学館大准教授(日本近現代史)は「日誌は事務的な事象を記すのが通例だが、この日だけは職員の思いがつづられている」と解説した。
近代日本画の巨匠、横山大観の「正気放光(せいきほうこう)」という富士山を描いた作品も公開。これまで同神宮に奉納された経緯は不明だったが、戦後80年にちなんで久保田昌孝宮司が社務日誌を詳しく調べたところ、終戦直後の20年9月3日に「大和海軍航空隊大和基地(通称・柳本飛行場)」(天理市)から奉納されたことが分かった。米軍に接収されるのを危惧して奉納されたともみられる。
企画展では、皇学館大の学生も資料調査を担当。神道学科4年の釜本奏太朗さんは「資料を間近に見て歴史の奥深さを感じた」と話し、長谷川さんは「橿原神宮が戦争の終結と平和を常に神様に祈っていたことが伝わってくる」と指摘した。入館料は500円。問い合わせは同神宮(0744・22・3271)。


































