安倍元首相銃撃裁判初公判 傍聴者、高い関心 市民「背景知りたい」

傍聴券の抽選券を求めて列をつくる人々=28日、奈良市の春日野園地(渡辺大樹撮影)
令和4年7月に奈良市で参院選の応援演説中に安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判の初公判が28日、奈良地裁(田中伸一裁判長)で開かれた。地裁近くでは700人超の傍聴希望者が列をつくるなど、改めて事件の注目度の高さをうかがわせた。
「あれだけの事件だったので、本人がどういう受け止め方をしているのか気になった」。閉廷後、公判を傍聴した京都市伏見区の会社員、井出大貴さん(35)が取材に応じ、法廷での被告の様子などを語った。
井出さんによると、被告は公判中、特に表情を変えることはなかった。しかし証拠調べの際は手で顔を隠すようなしぐさをしたといい、「だいぶ感情の起伏があったんじゃないか」と心情を推し量った。
印象に残ったのは、検察側が証拠物として被告が作ったとされる複数の銃を法廷に運び込んだ場面。井出さんは「被告の強い意志や殺意が形として現れているように感じた」と振り返った。その上で今後の公判について「事件に対して、いろんな思いを抱えている人がいる。きちんと証拠を調べ、手続きに則った裁判が行われてほしい」と望んだ。
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地元の奈良市民からも、山上被告がなぜ犯行に及んだかを法廷で明らかにしてほしいという声が聞かれた。
奈良市の近鉄奈良駅前。同市の主婦、鈴木悠(はるか)さん(40)は地裁前の様子について「あんなにマスコミが集まることはめったにないので驚いた」と打ち明けた。事件から3年以上が経過して初公判が開かれたことについては「複雑な事件なので時間がかかるのは仕方がない」と話した。
事件に関心を持ち続けてきたという同市の女性会社員(63)は「宗教が絡んでおり、山上被告がなぜこんなことをしたのか背景を知りたい」と語った。
同市の無職、中西康さん(72)は山上被告に「自分の口で話してほしい」と求めた。一方、同市の無職男性(76)は「殺人はもちろんよくないが、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)のことで(山上被告も)苦しんだのではないか」との考えを示した。


































