「あなたや家族も……」警鐘 電通過労自殺 高橋まつりさんの母が講演
大手広告代理店「電通」に入社したばかりの平成27年に過労自殺した高橋まつりさん‖当時(24)=の母、幸美さん(62)が日、奈良市の奈良公園バスターミナルレクチャーホールで講演した。月100時間を超える過酷な環境の中でまつりさんが自ら命を絶つまでの経緯を振り返り、「過労死は特別な誰かに起こることではない。あなたや大切な家族が娘と同じような労働環境に置かれたら、被害者になるかもしれない」と警鐘を鳴らした。

高橋まつりさんの遺影の隣で講演する母の幸美さん=奈良市内
講演は厚生労働省が11月の「過労死等防止啓発月間」にあわせて開催したシンポジウムで行われた。
まつりさんは27年4月に電通に入社し、同年12月に社員寮で自殺した。新入社員研修は残業としてカウントされず、10月に正社員に採用された後、厚労省が過労死リスクが高まるラインとする月80時間を大幅に上回る残業が続いた。
講演ではまつりさんのSNSが公開され、「もう(午前)4時だ。身体が震えるよ」「19時間とか仕事して、お昼はデスクでコンビニおにぎりか、お昼抜き」など、追い詰められていく様子をうかがわせた。自殺当日、幸美さんに宛てた最後のLINE(ライン)は「お母さん、ありがとう。さようなら。仕事も人生も全てが辛い。お母さん、自分を責めないでね。最高のお母さんだから」だったという。
まつりさんは授業料免除制度がある進学校から東大現役合格を果たし、順風な人生を歩んでいた。幸美さんは「どんなに苦しくても努力を続ければ夢はかなうと信じる娘だった」と振り返り「(電通で)同じように苦しむ社員はもういないと信じている。でも一番の願いは娘を返してほしいこと。娘が生きているときに労働環境を改善してくれていたら、今も幸せな人生を送っていたと思うと悔やみきれない」と語った。
講演後に取材に応じた幸美さんは「大手企業での業務改善は進んでいるように思えるが、過労死がなくならないのは中小企業や経営が苦しい企業で起こっているからだ」と話し「健康を犠牲にする労働環境はあってはならない」と語った。


































