【やまと人巡り】薬師寺管主 生駒基達(きたつ)さん(63)

薬師寺の生駒基達管主
「子供の頃は境内は遊び場で、庭に東塔(国宝)が建っているという環境だった」。薬師寺僧侶の長男として同寺で育ち、今年10月に管主(かんす=住職)に就任。伽藍(がらん)の復興前に親しんだ遊び場は今は再建された金堂や西塔、大講堂などが並ぶ壮麗な空間だ。
写経勧進(かんじん)による伽藍復興で知られるようになる高田好胤(こういん)師が境内で修学旅行生らに寺の説明をする姿にあこがれ、そのまね事をして楽しんだ。高校2年のときに高田師のもとで得度し大学卒業後に奉職して以降、執事や副住職などを務めてきた。
「若いときから修学旅行生らに話をすることが多かった。楽しいことも嫌なこともあったが、結局はそうしたことが良かった」
あるとき、寺を訪れた愛媛県の中学校からその後に学校での講演を依頼された。講演を終えて帰る際に校舎の窓から生徒らが長い間手を振って見送ってくれ、「人を見送るとはこういうことなのか…と勉強させてもらった」と振り返る。
管主になる前、改めて「お坊さんとはいったい何なのか?」と考えてみた。その結果、「根本的なこととして日々の心の持ち方をしっかりしないといけないと発心した」という。
奈良から離れた薬師寺の東関東別院・潮音寺(茨城県潮来市)で住職を務めたことがある。薬師寺にいるときと違って周辺に知った人もなく、思い悩んだ。
「お寺は仏さんがあるからというより、人によって来ると思った。人とのご縁を大切にしないといけないと教わった」
高田師も人を惹(ひ)きつける魅力があり、一度会った人を必ず覚えているような僧侶だった。自分も写経会に参加した人らと交流するなどして、多くの人と縁を結んでいきたいという。(岩口利一)


































