18歳選挙権、学校でどのように指導する? 県選管が高校生と意見交換
来年夏の参院選から選挙権が18歳へ引き下げられる。県内では若年層の投票率低下が深刻な課題となっており県、市の選管やそれぞれの学校では選挙の仕組みを学ぶ授業や模擬選挙などの取り組みを強化している。一方、高校生にも一部政治活動が容認されることから、教育現場では指導のあり方をめぐって戸惑いの声もあがっている。
「とにかく、選挙に少しでも興味をもってほしい。高校生の意識や関心を引きつけるよう努力したい」
県選管の担当者はこう話す。現在、県教委や県内12市1町の選管担当者らと話し合いながら、学校で生徒会選挙や模擬投票を実施する際の「選挙マニュアル」を作成中だ。今年度内にも完成予定で県内の小、中、高校や市町村教委などに配布予定で、担当者は「マニュアルを活用してもらい、もっと多くの学校で生徒に本格的な選挙の流れを味わってほしい」と話す。
若者の投票率アップは県内でも大きな課題だ。昨年の衆院選で県内の投票率は55・6%だったが、20代前半は35・83%、20代後半は35・59%と世代別で最も低かった。
県選管では6月以降、県内の高校で模擬投票や選挙の仕組み、意義について説明する出前授業を実施。このほか市選管でも地元の小、中、高校生を対象に、選挙に興味を持ってもらうよう出前授業や模擬投票を行っている。県選管の担当者は「求めがあれば投票箱や投票台なども貸し出したい」とする。
10月末には県選管の担当者が県内の高校8校から集まった高校生8人と選挙啓発のあり方について意見交換した。高校生からは「どうやって誰を選べばいいのか不安がある」、「親も選挙に行かないので、家庭内で親と子供が選挙について話し合えるようなパンフレットがあればいい」といった意見が出たという。
中には「候補者に学校へ直接来てもらい、話を聞きたい」という声も。県選管の担当者は「現実的に難しいものもあるが、いろいろな高校生の意見を聞けてよかった」とし、「まずは選挙がどういうものか『体験』してもらい、投票へのハードルをなくしてもらえれば」と話す。
一方、教育現場では戸惑いと歓迎が交錯する。総務省は今月、高校生向け副教材と教員向け指導資料の配布を始めた。県教委の担当者は「適切に指導するための線引きが難しいのではないか…」と懸念も。教員の「中立性」をめぐっても混乱も予想がされる。
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