「労働時間の把握なくして、過労死防止できない」 奈良でシンポ
過労死等防止啓発月間(11月)に合わせた「過労死等防止対策推進シンポジウム」が奈良市登大路町の奈良商工会議所で行われ、会社経営者や労働組合の関係者など約40人が参加した。
啓発月間は、昨年11月に施行された過労死等防止対策推進法で定められた。2年目の今年は、厚生労働省が全国でシンポジウムを開催。「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ」と副題をつけた。
17日に開かれたシンポジウムでは、過労死弁護団全国連絡会議代表幹事の松丸正弁護士(大阪弁護士会)が基調講演。自ら代理人を務めた過労死・過労自殺の事例を元に「労働時間の適正な把握なくして、過労死の防止はできない」と指摘し、「特に自己申告の職場では『能力が疑われる』と心配して、過小に申告しがちだ」と実態を述べた。
続いて県内在住で、夫を過労で亡くした「大阪過労死を考える家族の会」の西岡佳恵さん(41)らが体験談を披露。松丸弁護士や西岡さんによるパネルディスカッションも行われた。
過労死をめぐっては今年7月に大綱が閣議決定。将来的に過労死・過労自殺をゼロとすることを目指し、平成32年までに週60時間以上働く人の割合を5%以下とするなどの数値目標が設けられた。
■過労死等防止対策推進法(過労死防止法)
過労死・過労自殺の防止対策を国の責務で進めるとの理念を打ち出した法律。規制や罰則は設けず、調査研究、啓発、相談体制の整備、民間団体への支援の計4項目に取り組むと明記した。事業主は協力し、国民は関心と理解を深めるという努力義務も定めている。超党派の議員立法で可決・成立し、平成26年11月に施行された。
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