ストレスチェック義務づけ 県内800事業所対応追われる 支援強化も
従業員のメンタルヘルス不調を防げ―。改正労働安全衛生法の施行により、12月から従業員50人以上の企業に「ストレスチェック」の実施が義務付けられる。奈良労働局によると、県内では約800の事業所が対象となる見込み。過労や職場の対人関係から精神疾患にかかる従業員が増え続けていることが背景にあり、事業者側の負担軽減を図ろうと関係機関は制度導入に向けたサポート体制を強化している。
「チェックそのものをどう進めていけばいいのか」「産業医はどうかかわるのか?」―。奈良産業保健総合支援センターや奈良労働局などの関係機関には、こうした問い合わせが相次いでいる。
事業所の中には10月に始まったマイナンバー制度への対応に手いっぱいで、ストレスチェックにまで対応が追いついていないところも。専門の業者にストレスチェックを委託するケースも多いという。
こうした中、県内の関係機関は制度導入への支援を強化。奈良労働局では制度内容についての講習会を今月大和高田市内で実施。12月初旬には奈良市内で開催する。同労働局は「両会場ともすぐ、定員が埋まった。制度に対する関心の高さがうかがえる」とし、追加開催を予定している。
一方、奈良産業保健総合支援センターもさまざまな取り組みを進めている。メンタルヘルス対策の専門家が直接事業所を訪問して、それぞれの事業所に合った具体的なアドバイスを行う「個別訪問支援」や、産業医、制度担当者、事業者別に3種類の研修を随時開催。また、実施方法について電話で質問できる全国統一のナビダイヤル(☎0570・031050)も設け、平日午前10時~午後5時まで対応する。
担当者は「導入について具体的な方法を知りたいなど分からないことがあれば利用してほしい」と話している。詳しくは同センター(☎0742・25・3100)。
■ストレスチェック 奈良労働局などによると、「ストレスチェック」は医師や保健師など専門家が1年に1回、調査票を使って従業員のストレスの程度をチェックする制度。調査結果を分析し、職場環境の改善につなげるのが狙いだ。
結果は医師など実施者が本人に伝え、本人の同意がなければ結果を企業に伝えることは禁止されている。強いストレスを抱えていると判断された従業員には、本人が必要性を認めた場合、医師による面接指導を行う。事業所は調査の実施を管轄する労働基準監督署へ報告する。
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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)