【奈良から世界へ】(2)ご当地ジェラートで大手に挑む テンダーボックス
各地のご当地名物をジェラートに〝変身〟させる会社が平群町にある。これまでに奈良漬、どら焼き、わさび、岩津ねぎ、越前わかめ…などを商品化。「どんな味か、想像できますか?『大手』に勝つためにはおもろい工夫をしないと」。「生みの親」であるテンダーボックスの華田宗孝社長(71)はこう話す。
業務用食材の代理店を経て平成14年、大阪・天神橋筋商店街の近くでイタリアンジェラート店を始めた。18年、生駒山の山並みが見渡せる現在の場所にほれ込んで移転、工房やジェラートと、パスタの店を設立した。店ではこだわりのパスタを提供。そして、バニラやチョコレートなどの定番に加え、県産イチゴ「古都華」など旬の果物を使ったジェラートを販売している。
リクエストに応じ、ご当地ジェラートを本格的に作り始めたのは約6年前。その種類は現在、40を超える。ユニークな挑戦は業界内で話題を呼び、今は「ぜひうちのを作って」と依頼されることも多い。
おいしさを追求したり、個性的な味を前面に出したり。素材の味や食感、イメージを生かして完成させるのは同社の工房長、今坂賢二さん(31)だ。昨年には、ジェラート発祥の地・イタリアで開かれた国際コンテストで日本人最高位の6位に入賞。開発したジェラートのレシピは300にも上る。
そんな今坂さんが最も苦労したのは、兵庫県朝来市の名物、岩津ねぎを使ったジェラート。香ばしさをどう出すか、ねぎをペースト状にして何度も試し、完成させた。今挑戦しているのは何と、「明太子」に「しめさば」。「納得いくものを作りたい」と意気込む。
華田社長の目標は全国のご当地ジェラートを作り、一堂に集めて販売すること。東京への店舗進出も考えている。「奈良は食材の宝庫。地元を盛り上げながら、新しいジェラートを生み出していきたい」。
◆ひとこと 「食べてみたいと思わせる商品つくる」
「パスタ店では当初、お客さまがゼロの日もあったが、あきらめず頑張ってきた。大切なのは真心を込めて作り、販売するということ。『食べてみたい』と思わせるような商品をつくり、少しでも笑顔に、元気になってもらいたい」(華田宗孝社長)
■(株)テンダーボックス(平群町菊美台1丁目7の33)
平成9年大阪市で業務用食材代理店として創業。14年にイタリアンジェラート店を始め、18年に平群町の近鉄生駒線東山駅近くに移転。ジェラート工房やジェラート&パスタ店「mamma」を開店した。ジェラートの製造、販売や業務用食材の販売を手がける。地域の特産品などを生かした「オリジナルジェラート」の相談は同社(☎0745・46・1081)。
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