「古事記の奥深さ実感して」 作家の寮美千子さんが絵本発刊
国内最古の古典「古事記」に描かれた奥深い世界を知ってもらおうと、奈良市の作家、寮美千子さんが、「絵本古事記 よみがえり-イザナギとイザナミ」(国書刊行会)を発刊した。画は「銀筆画」で知られる神奈川県秦野市の画家、山本じんさんが独自のタッチで描き、古事記の古代的感性が伝わってくる一冊となっている。
寮さんは、泉鏡花文学賞を受賞した翌年の平成18年に、首都圏から奈良に移住。古事記は以前から読んでいたが、奈良で暮らすようになって、その世界を肌で感じられるようになったという。
「古事記の古代的心情をダイレクトに伝えたい」。そんな思いから24年末、絵本の原稿執筆を始めたところ、古事記を編纂した太安万侶ゆかりの多神社(田原本町)の祭りで朗読劇を披露することを依頼され執筆し、朗読。以後毎年、朗読劇を上演している。
今回の「絵本古事記」は昨年上演した「黄泉返り」を絵本化。イザナギ、イザナミという男女の神の国生みや、イザナギがイザナミを追って死者のすむ黄泉の国へ向かう話で、画は神々や植物などが幻想的に描き出されている。寮さんは「子供から大人まで、古事記の奥深さを実感してほしい」と話し、今後もシリーズとしてさらに発刊を目指すという。
絵本古事記(2808円)は全国の書店で販売中。出版を記念し、23日午後3時から、奈良市の啓林堂書店奈良店で寮さん、山本さんのトーク&サイン会が、24日午後1時半から同市の名勝大乗院庭園文化館で、勾玉天龍座と寮さん、山本さんによる公演が予定されている。無料。
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