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準備万端で絶景目指そう! 安全な登山の心得はこれだ!!


 近年老若男女を問わず人気となっている登山。「山の日」(8月11日)が国民の祝日に加わり、関心が高まる一方で注意したいのが遭難事故だ。県山岳連盟では今月6日、安全な登山技術を伝える「市民公開登山」を開催した。基本装備から地図の読み方、簡易テントの使い方―。登山を始めて3年になる記者も同行し、スタッフらの指導を受けながら台高山系・白屋岳(標高1177メートル、東吉野・川上両村)山頂を目指した。(浜川太一)

 ■速乾性の衣服や非常食必需

 東吉野村三尾の登山口。この日は雨の予報だったが雲間からは陽光が差し、沿道に咲く白梅が春の陽気を漂わせながら出迎えてくれた。「市民公開登山」の参加者は約30人。入念に体操して午前10時ごろ、県山岳連盟副理事長の前田善彦さん(49)をトップに入山した。さし登山④

 「山登りでは、着ているものが生死を分ける。綿ではなく、速乾性のある化学繊維の素材を着用してほしい」。前田さんはまず、服装を指導。遭難者の死因は低体温症が多いといい、登山中も重ね着をした衣服を脱ぎ着し、胸元のチャックを開け閉めするなど、「こまめな体温の調節が大事」と教えてくれた。

 忘れてはならない食料。山中では突然の雨などでゆっくりと腰を下ろして食事をできないこともあるため、チョコレートなど手軽に口にできる高カロリーのものがおすすめ。前田さんは「常にのどが受け付ける自分好みの食べ物が一番いい」とした。飲み物は、負傷の際に傷口洗浄にも使える水がいいという。

 スマートホンのGPS機能に頼っていては、いざというときに身動きがとれない。地図とコンパスは必携。緊急時に助けを呼ぶための笛や救急用品、常備薬も携行しておくべきだ。

ロープを張ってつるし、4隅を固定すればツェルトはテントとして使える

ロープを張ってつるし、4隅を固定すればツェルトはテントとして使える

 ■簡易テントの効用

 1つ持っておくとさまざまな場面で役に立つのが簡易テント「ツェルト」だ。風や寒気を遮断するので、体に覆いかぶせるだけでも体感温度が上昇する。折りたたみ傘をシートの中で開けば一定の空間ができ、より機能性が増すという。10~20メートルのロープがあれば、付近の木に張ってシートをつるし、テントのように設営することもできる。

 平成26年9月に起きた御嶽山(長野・岐阜両県)の噴火では、簡易テントの携帯が生還につながった事例もある。東京都の40代女性は噴石の直撃を受け、左手を失う大けがを負ったが、救助隊が駆けつけるまで丸1日、簡易テントとダウンジャケットを体に巻き付けて標高3千㍍の氷点下を生き抜いたという。販売価格は2万円前後からで、非常用にぜひ持っておきたい。

地図とコンパスを使い、現在地と進行方向を確認する参加者

地図とコンパスを使い、現在地と進行方向を確認する参加者

 ■達成感に包まれる登頂

 50分歩いて10分休憩するという時間配分で、標高差850メートルの尾根道を進んだ参加者らは午後1時半ごろ、山頂にたどり着いた。一部冠雪した雄大な山々を眺めながら写真撮影などを楽しみ、互いの労をねぎらった。

 定年を控えた3年前、「人生の区切りに」と、念願の富士登頂を成功させた涌田治さん(63)=大和高田市=は、「しんどい思いをして到達した頂上からの景色は格別です」とさわやかな笑顔。15年前に雪解けの大峰山を下山中、崖下へ10メートル滑落した経験があるという新田美代子さん(75)=斑鳩町=は、「しばらくはゆるやかな下り坂さえ歩くのが怖かったが何度も挑戦し、恐怖に打ち勝ってきた。技術を学び、80歳になっても歩いていたい」と話した。

 緑が芽吹き始める春、いよいよ絶好の登山シーズンを迎える。事前準備を万全にして、登頂の達成感と多くの絶景を今年も心に焼き付けたい。

危険感じたら、引き返す勇気必要 遭難者増加

 日本生産性本部の「レジャー白書」によると、近年の登山人口は800万人前後で推移しており、10年前に比べ100万人以上増加している。

登山装備

(クリックで拡大)

 こうした「登山ブーム」を背景に、山岳遭難の発生件数は増加。警察庁が昨年発表した「山岳遭難の概況」によると、平成26年中に起きた遭難件数は2293件で、遭難者数は2794人(うち死者・行方不明者311人)。件数、人数とも10年前から1千近く増えており、統計の残る昭和36年以降で最高値を記録した。遭難原因は「道迷い」が全体の41%、「滑落」が18%、「転倒」が14%の順だった。

 県内の山岳遭難も同様の傾向で、昨年1年間で48件発生。うち死者は12人で、統計が残る平成15年以降最多となった。

 県警地域課によると、県内の遭難の特徴は「低山だと軽視した装備不足や、無理な登山計画」(担当者)が挙げられるという。大台ケ原や大峰山系は標高2千㍍以下の比較的低い山で「簡単に登れそう」といった思い込みから、時間配分を間違えたり、道迷いに遭うケースが多発。こうした遭難者の9割近くは登山届を提出していないという。

 同課は「十分な食料の準備、通信手段の確保、登山届の提出を徹底してほしい」と強調。「低山と甘く見ず、困難を感じたら引き返す勇気も持ってほしい」としている。

 県警は登山届の提出を郵便やファクス、メールで受け付けている。詳細は県警公式ホームページ(http://www.police.pref.nara.jp/)で確認できる。

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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)

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