【高校野球】「お父さんの悲願果たせたよ」 故・上村前監督の妻、歓喜の校歌歌い上げ
第88回選抜高校野球大会の決勝で31日、延長十一回の末、高松商(香川)にサヨナラ勝ちして初優勝を決めた智弁学園(奈良)。歓喜に沸く一塁側アルプス席には、平成17年に46歳の若さで亡くなった前監督の上村恭生さんの妻、佳代さん(50)の姿があった。形見の野球帽を手に、「お父さんの悲願だった優勝が果たせたよ」と喜んだ。
上村さんは昭和57年に野球部のコーチとなり、同61年に監督に就任。その後、春3回、夏5回の甲子園に導くなど、智弁学園を強豪に育てた。平成7年夏には現在の小坂将商監督らを率い、ベスト4にも進出している。
「当時、夫は早朝に家を出て、午後9時ごろまで帰ってこないような野球漬けの日々でした」
厳しい指導の一方で、上村さんは選手を時に自宅に泊めるなどして、選手と正面から向き合う機会を作る工夫もしていた。また、「一球を大切にしよう」との信条は、小坂監督に受け継がれ、チームの〝伝統〟になっているという。
上村さんは亡くなる5年ほど前から、「疲れやすい」と体の不調を訴え始め、入退院を繰り返した。監督を続けたいと腎臓移植も行うなど執念を見せたものの、17年にこの世を去った。
夫が亡くなった翌年から、同校の音楽教諭となった佳代さんは今大会、夫が愛用し、形見となったチームの帽子を携えて甲子園球場(兵庫県西宮市)に足を運んだ。この日も佳代さんはアルプス席から夫の帽子を握りしめ、声をからして応援した。
夫の〝教え子〟たちが成し遂げた悲願の全国制覇。佳代さんは試合後、亡き夫と一緒にいるかのように校歌を歌い上げた。
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