【高校野球】「笑うことしかできない」 智弁を初の頂点に導いた小坂将商監督
甲子園に春夏合わせて27度出場している古豪を、初の頂点に導いた。劇的な幕切れに「涙が出ると思ったが、笑うことしかできない」と相好を崩した。
主将を務めた法大では現阪神の安藤優也投手(38)らと同期。社会人の松下電器(現パナソニック)では1年目に日本一を経験した。27歳でコーチとして母校に戻ったが、恩師でもある上村恭生前監督の急逝を受け、監督に就任した。
チームを引き継いで最初の夏は奈良大会準決勝で天理に惨敗し、「何がなんだかわからないうちに試合が終わった。本当に力のない人間だった」と振り返る。「迷いながらサインを出したら生徒は絶対に失敗する」と痛感させられた。
2年目の平成19年夏に初めて甲子園に出場。選手と同じ目線で、時にはプライベートな雑談にも加わった。「野球をやるのは選手。うまく使うのが監督。一人一人の性格を分からないとダメ」との考えで、近すぎず離れすぎず、徐々に適度な距離感をみつけた。
今回の選抜大会出場が決まってから「日本一」がチームの合言葉になった。「口に出すことで意識が高くなった」といい、準決勝の龍谷大平安(京都)戦では、土壇場の九回1死から逆転サヨナラ勝ちで4強の壁を乗り越えた。
兄弟校の智弁和歌山が春夏通算3回の全国制覇を達成しているため、選手時代から「間違えられるのが嫌だった」という。反骨心も糧に、ようやくたどり着いた同じ頂。古豪の歴史を塗り替えた指揮官は「グラウンドを離れても常にバッティングのことばかり考えている」と頭をかいた。(大宮健司)
メモ 昭和52年7月23日生まれ、和歌山県出身。智弁学園、法大を経て社会人野球の松下電器(現パナソニック)に。平成17年1月に母校のコーチに就任し、18年4月から監督。7年夏の全国選手権では、主将として出場し、ベスト4。監督としては春夏合わせて7度の甲子園出場。
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