どうする?どうなる?18歳選挙権 模擬選挙、教育研修…対策模索
今夏の参院選から選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられることを受け、県選管では、高校生らに選挙への興味関心を高めてもらおうとあの手この手の対策を進めている。一方、教育現場では「主権者教育」を強化する取り組みをスタート。ただ高校生の政治活動をめぐって統一した基準はなく、各学校ごとに対応を迫られている。
県選管などは、昨年6月から県内の公立高校延べ約15校で模擬選挙などを体験する「選挙出前授業」を実施。本格的な選挙の流れを味わってもらおうと実際の投票箱や投票台を使って臨場感を高めた。また高校の校内放送で担当者が選挙の仕組みや意義、18歳選挙権導入について説明し、投票を呼び掛けるユニークな取り組みも行っている。
「とにかく投票所に足を運んでもらうためには、政治や選挙に関心を持ってもらうことが大切」と県選管担当者。県内の市町村選管が独自に管内の学校で選挙出前授業を行えるようにと、122ページからなる「出前授業・模擬選挙実施マニュアル」も作成した。
マニュアルには高校や中学校で模擬選挙を実施する際の手順や選挙公報のサンプル、選挙の仕組みを説明するときの参考資料などが盛り込まれており、担当者は「模擬選挙を実施したことがない市町村選管でも、このマニュアルを活用することで取り組みやすくなる」と話す。
一方、教育現場では模索が続く。高校生の政治活動をめぐっては昨年、文部科学省が選挙権年齢引き下げを受けて、放課後や休日に校外で行う政治活動を容認する通知を出し、今年1月には、学校外の政治活動について届け出制とすることも容認した。
県教委によると、届け出制については各学校に任せており、県教委として統一した基準は設けていないという。各学校の対応については「現在のところ、特に把握はしていない」といい、今後の状況を見守る方針だ。
昨年12月には県内の高校約60校の管理職や公民科、生徒指導の教諭を集めた研修を開催。国が制作した副教材についてや、主権者教育の進め方などについて説明した。今後、副教材活用のためのガイドラインも作成し6月にも再び同様の研修を実施する予定だ。
とはいえ、教員の「中立性」をめぐっては難しい線引きも予想される。担当者は「これまでに現場から大きな混乱の声は上がっていない。これからどうなるかは情報を集め、推移をみていかなければならず、今のところ何もいえない」と話している。
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