大丈夫か?断崖絶壁にされた茶畑 県が無許可掘削で業者告発
荒井正吾知事は13日、奈良市月ケ瀬の山林で許可以上の土砂を掘削した上、許可地以外で土砂を採取したなどとして、県砂防指定地管理条例違反と森林法違反容疑で三重県伊賀市の業者を奈良県警に告発したことを明らかにした。告発は3月1日付。
県によると、業者は平成22年6月から約1年間、奈良市月ケ瀬の山林約1万平方メートルの現状変更許可を県から受け、土砂の掘削を開始。ところが許可期限を過ぎても掘削を継続し、さらに許可地以外の場所の土砂も掘削した。採取した土砂は数万立方メートルに上るとみられる。
県は25年5月に違法な掘削を把握。口頭指導や18回に及ぶ文書指導を行い、26年6月に是正命令を出した。業者からは「土を埋め戻す」とする是正計画が提出されたが、作業は進んでいないという。
現場は京都府南山城村との県境。現場の山林は斜面が削られて切り立った崖になっており、隣接する茶畑に迫っている。土砂災害の恐れもあるといい、京都府や南山城村も県に安全面の措置を取るよう要請していた。
県によると、このほかにも奈良市で1件、生駒市で3件、業者が同条例に違反し、無許可による土砂搬入や盛土を行っていたケースがあった。いずれも県が文書指導などを繰り返し、現在は違反行為は止まっているという。
こうした現状を受けて県は7月から、罰則の規定範囲を広めるなどした改正県砂防指定地管理条例を施行する。荒井知事は「聞く耳を持たない業者にどう指導するか。7月から施行される条例にマッチするマニュアルをつくっていきたい」と話した。
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