熊本地震 救助の現場は「想像以上に凄惨」 帰還の奈良県警隊員
熊本、大分両県で相次ぐ地震に伴い、被害が甚大な熊本県益城町や南阿蘇村に派遣され約3日間、被災者の救助活動などに従事し帰還した県警の広域緊急援助隊員が、被災地の現状を報告した。
隊員14人は14日の地震発生直後に出動要請を受け、翌日未明に出発。現地に到着後、2日間は益城町、最終日の3日目は南阿蘇村で被災者の救助活動などにあたった。
現場で指揮した県警機動隊の中川達哉小隊長(48)は「倒壊した家屋や道路の亀裂が多く、想像以上に凄惨だった」と振り返った。夜間は冷え込みも厳しく、余震が頻発する中、避難場所や防寒具の確保が困難な被災者も多かったという。
16日未明に発生した「本震」は、熊本市内の活動拠点に戻る途中の車内で経験。「車両が横転するほどの強い揺れ」で、すぐに益城町へ戻った。倒壊した2階建て民家に、夫婦とみられる80代男女が取り残されているのを発見。「痛いところはないですか」「救助するので待っていて」などと声をかけ続けた。
男性は仰向けの状態で屋根のはりの下敷きになっており、クラッシュ症候群の恐れがあった。輸液を点滴しながら救助活動を続ける途中も余震が続き、やむなく活動を中断して隊員を避難させることも。男性は約4時間がかりで救出し、女性は別の合同部隊に救出されたが、心肺停止状態だったという。
「『遠方からありがとう』と丁寧に頭を下げられ、この上ない感動でいっぱいになった」と中川小隊長。「救出にはかなりの時間を要した。迅速かつ的確に対応できるよう、救助能力を高めたい」と話した。
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