ひとり親家庭の子供を地域で支援 県がOB教師らが勉強教える環境づくりへ
経済的な理由などで家庭で学習することが難しい小中学生に、地域住民が協力して勉強を教える取り組みを県は今年度から始める。国が進める「子供の貧困対策」の一環で、主に親が仕事などで不在がちなひとり親家庭の子供が対象となる。当初予算に事業費約770万円を計上した。
小学校や中学校の空き教室や公民館を利用し、地域の大学生やOBの学校教師らが学習を手伝う。「地域未来塾」と名付け、子供の学力に応じた教材を用意。学習支援を行う地域住民には謝礼を支払う。
県は独自で取り組みを進める中核市の奈良市を除く38市町村から、事業の補助金申請を受け付ける予定。事業費は国と県、市町村でそれぞれ3分の1ごとに分担する。担当者は「経済的な事情で家庭での学習が難しい子は多い。学力を高めて将来に希望を持ってもらうためにも、事業を進めたい」と話している。
夜間に子供だけで出歩き事件に巻き込まれたり、インターネットで有害な情報に接したり。子供を取り巻く環境は、大きな危険をはらんでいる。学習支援だけにとどまらず、子供が放課後に安心して気軽に集まることができる居場所づくりは急務だ。
放課後の過ごし方に課題あり、親子ふれあう時間少ない
26年度の県の調査によると、県内のひとり親家庭の小学生の62%が、放課後を自宅で過ごしていることが判明。その多くが子供だけで過ごしていたという。
また、ひとり親家庭の親の42・8%が子供と過ごす時間が「あまりとれていない」と回答。平均帰宅時間が「午後8時以降」「不定期」と答えた割合は22・7%に上った。
こうした状況を背景に県は放課後の子供の安全を地域全体で見守り、育てようと「家庭以外の居場所づくり」を掲げている。担当者は「各地域ごとにどういう居場所がいいのか、まずは調査をして探っていきたい」と話し今後、実態調査を進めていく方針。
県によると、県内のひとり親世帯のうち、経済的に厳しいとされる年収200万円以下の世帯の子供は約8千人で、全体の約3・8%。近年増加傾向だという。
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