大和郡山の〝開かずの踏切〟解消へ本腰 県内唯一の「要改良」指摘
踏切の事故や渋滞を減らすため、国土交通省が自治体などに改良を義務づける「要改良」指定踏切に、県内では大和郡山市の県道(奈良大和郡山斑鳩線)を横断する近鉄橿原線・九条第9号踏切が唯一指定された。道路を管理する県はすでに渋滞解消に向けた事業計画を進めており、平成32年度の完成を目指し、県道が踏切の下をくぐる地下構造化を図る。
今月1日施行の改正踏切道改良促進法に基づき、国交省が初めて実施。遮断時間が40分以上の「開かずの踏切」や、歩道が狭いなど危険性が高い踏切を国が指定し、自治体や鉄道会社に対策を取るよう求める。今回は17都道府県の計58カ所の踏切が指定された。
九条第9号踏切は、近鉄郡山駅の北約700メートルに位置。周辺は市役所や「やまと郡山城ホール」が建つ市街地で、人通りや交通量が多いうえ、付近には福祉施設も。利用者の安全確保などが求められている。
特に朝の通勤時間帯の混雑が問題となっており、県が19年10月に行った調査では、午前8時台で同踏切の最大遮断時間は1時間あたり32分40秒。1日の遮断回数は294回に上り、1日の総遮断時間は7時間6分だった。周辺道路で頻発する渋滞も問題となっていた。
踏切付近に住む無職、三上定男さん(76)は「近くに大型商業施設ができてから土日の渋滞もひどくなった」といい、「県道に複数の道が交差していて、信号機が多いのも原因の1つかもしれない」と指摘。市内に住むパート勤務の女性(39)は「朝の通勤時間帯は遮断機が降りっぱなしで動かない。通学する子供たちも多くて混み合うので、朝は極力通らないようにしている」と話した。
県地域デザイン推進課によると、県は23年から踏切を含む県道約1キロ区間の改良工事に着手。今後、約10メートルの道路幅を歩道も含め15~30メートルに拡幅し、県道は踏切下に走らせて立体交差させるという。担当者は「歩行者の安全確保と渋滞解消につながる。引き続き事業を進めていきたい」としている。
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