新たな吉野地域活性化へ 「造林発祥の地」で日本遺産 8町村
歴史や文化を語る物語性で地域の魅力を発信する「日本遺産」として25日、文化庁から認定された「森に育まれ、森を育んだ人々の暮らしとこころ~美林連なる造林発祥の地〝吉野〟~」。高齢化・過疎化が進む吉野地域にあって、ストーリーを構成する2町6村は、森の文化を生かした活性化に向け意欲を見せている。
今回認定されたのは、吉野、下市両町と黒滝、天川、下北山、上北山、川上、東吉野の6村を舞台とするストーリー。吉野地域で約500年にわたり培われた技術で育まれた人工の森と、神仏が鎮まる地として守り続ける天然の森が訪れる人らを圧倒する-というもので、柿の葉寿司や割りばしなど、食と暮らしの文化も体感できることが魅力としている。
ストーリーを構成する文化財は、吉野の天然林と人工林のほか、天然木の柱が並ぶ吉野町の金峯山寺本堂(国宝)、スギ、ヒノキを育てる国内最古の人工林を持つ川上村の下多古村有林などが含まれる。
日本遺産に認定されると補助金が交付されるなど、文化庁が支援する。代表自治体の吉野町によると、日本遺産を生かす活性化策として、講演・講座などを通じて遺産について周知。観光客らをもてなすために山の先達を育成したり、吉野の魅力を首都圏に発信することなどを検討しており、今後詳細を詰めるという。
北岡篤・吉野町長は「8町村が一丸となって自らの町村が持つ文化的な資源を見直し、どのように全国にアピールするべきかに熟慮を重ねた営みが認められ、望外の喜び。日本遺産を活用して新しい形での吉野像を提唱し、観光・地場産業を含めた活性化を目指す」とのコメントを発表した。
県内では昨年度、第1弾の日本遺産に「日本国創成のとき~飛鳥を翔た女性たち」(橿原市、高取町、明日香村)が認定されている。
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