「ごみ」からわかる平城京の暮らし 奈文研資料館で23日まで
落書きされた土器、米の支払伝票、リサイクルされた井戸わく-。1300年前の日本の都・平城京の〝ごみ〟から、当時の生活を読み解く展示「平城京〝ごみ〟ずかん-ごみは宝」が奈良文化財研究所平城宮跡資料館(奈良市)で開かれている。
「貴族」や「お寺」「役所」のごみ捨て場の様子や、平城京での「リサイクル」の実態、ごみの見極め方などを紹介。当時、ごみの捨て方は穴を掘る、水に流す、井戸に捨てる―の3つで、井戸の大きさなどから使っていた人の暮らしぶりがわかるという。
「貴族」では、長屋王邸のごみ捨て場を紹介。約3万5千点の木簡やガラス玉1点など、貴族らしいものが多い。木簡には漬物や氷の送り状、牛乳配達人への支払伝票、「長屋親王宮」と書かれたアワビの送り状などがある
「お寺」で紹介する西大寺の食堂院のごみ捨て場は、平城宮で2番目に大きい井戸を使用。製塩土器などから僧侶の食事の内容や、仏の供え物を作っていた様子うかがえる。
「ごみ」は、発掘調査で見つかった出土品から慎重に見極められている。人面墨書土器や割れた瓦、木簡、貨幣のうち、当時ごみとして捨てられたのは木簡のみ。割れた瓦は柱を支える土台に、土器はまじないに使われていたとされる。
さまざまなリサイクルも。藤原宮の建物に使われた柱が、中身をくり抜いて平城宮の大極殿院の地下で排水管(長さ約7メートル)に使われたり、儀式で使った盾を井戸の木枠にしたり、使わなくなった土器で九九や文字の練習をしたり・・・。奈文研企画調整部の中川あやさん(37)は「現代より、物を大切にしていたのかもしれない。1300年前のごみと身近なごみを比べながら楽しんでほしい」と話している。
23日までの午前9時~午後4時半。月曜休館(21日は開館)。問い合わせは、奈文研連携推進課(電0742・30・6753)。
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