「太陽の道」を提唱、仏像撮影の功績しのぶ 写真家・小川光三さんのお別れ会
奈良の仏像などの写真を撮り続け、5月30日に88歳で亡くなった写真家、小川光三さんをしのぶお別れ会が26日、奈良市の奈良ホテルで開かれた。古代史研究にも情熱を注いだ小川さんは三輪山の日の出と二上山の落陽に注目し、「太陽の道」を提唱。参列者からは数々の仏像と向き合った功績をたたえる声が聞かれた。
小川さんは写真家の父、晴暘さんの三男。文化財写真撮影の「飛鳥園」(奈良市)を継ぎ、各地の仏像などを撮り続けたほか、その背景にある古代信仰に関心を抱き研究。三輪山の日の出と二上山の落陽が稲作と関係したことに気づき、著書「大和の原像」で「太陽の道」を唱えたことで知られる。
お別れ会は、美術院国宝修理所の西川杏太郎理事長を発起人代表に、寺院の長老、住職や博物館館長らを発起人として開かれ、約200人が参加した。
会場の祭壇中央には、小川さんを象徴する二上山の落陽を撮影した写真。周囲にはユリやアジサイが飾られ、樹木などが豊かに生える里山が表現された。
発起人の1人としてあいさつに立った薬師寺の松久保秀胤長老(88)は、小川さんとは旧制中学校の同級生だったといい、「自分の意見をしっかり述べ、表現する、晴暘さんの子だなあという印象を受けた」と振り返り、祭壇の二上山の写真に触れて「生涯かけて原野を歩きながら追って撮ったうちの1枚。『太陽の道』を写真でもって分かりやすく人々に説いた」と語った。
会ではチェロの追悼演奏や献花などが行われ、小川さんをしのんだ。おいに当たる飛鳥園の小川光太郎社長(61)は、「多くの方にお越しいただき、感謝している。お別れ会には、『残された写真と業績を顕彰する』という思いを込めました」と話していた。
【関連記事】
古き良き「銀塩写真」の魅力に迫る 入江泰吉記念奈良市写真美術館で展覧会
産経新聞の試し読み、ご購読はhttp://sankei-nara-iga.jp/koudoku.html