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さわるな危険!毒キノコ「カエンタケ」大量発生の謎に迫る


 実りの秋は、食欲の秋。さまざまな旬の食べ物がおいしいこの季節、シーズンを迎えているのがキノコだ。美しい形状や独特の色合いから愛好家も多いが、秋は毒キノコによる食中毒被害がピークとなるシーズンでもある。奈良では近年、わずかな量でも口にすれば生命にかかわる猛毒キノコ「カエンタケ」が大量発生。発生時期や場所は、虫が媒介する菌で樹木が枯れる「ナラ枯れ」被害と重なっているとの指摘もあり、関係者は注意を呼びかけている。

今年8月、生駒山山麓で見つかったカエンタケ(奈良きのこの会提供)

今年8月、生駒山山麓で見つかったカエンタケ(奈良きのこの会提供)

■カエンタケの威力

 地面から人間の指先が突き出たように生え、燃えさかる炎のような赤色を全身に帯びるキノコ。古くからその猛毒で知られ、林野庁の担当者が「毒キノコの中で最も危険」と話す「カエンタケ」だ。漢字では「火炎茸」、または「火焰茸」と書く。

 カエンタケはニクザキン科のキノコで、長さは3~15センチ。折れたりして内部から染み出た汁が皮膚に付着すれば炎症を起こし、誤って口にすれば約30分後には悪寒や嘔吐、手足のしびれなどを発症。数日後には消化器不全や脳神経障害を引き起こし、死に至ることもある。厚生労働省によると、過去には薬用と勘違いして酒に浸して飲み、死亡した例もあるという。

 このカエンタケ、近年は奈良県内で大量発生しているのが確認されている。昨年8~10月には、生駒山山麓(同県生駒市)で100本以上、奈良市の観光名所「若草山」の頂上付近でも1本が確認された。

 愛好家の仲間とともに「キノコ観察会」を開催した際、これらのカエンタケを確認した「奈良きのこの会」の世話人、下原幸士さん(65)は「近年これほどの大量発生を見たのは初めて」といい、関係機関に注意喚起を呼びかけた。

■ナラ枯れが原因?

 同会によると、カエンタケが全国で確認されるようになったのは、ここ20年。昆虫が媒介する菌で樹木が枯れる「ナラ枯れ」被害の拡散と、カエンタケの発生時期や場所が重なるというが、その因果関係は明らかになっていない。

 ナラ枯れは、「カシノナガキクイムシ」という体長5㍉ほどの昆虫が樹木に穴を開けて潜入し、「ナラ菌」を持ち込むことで発生する。感染すると幹の中の水を運ぶ導管が詰まり、樹木が枯死する。木の葉は茶色く変色し、幹がもろくなって折れやすくなるという。

 ナラ枯れの被害が進行している生駒山山麓では、今年7月にもカエンタケが発生。9月末には、同様にナラ枯れの被害が確認された世界遺産「春日山原始林」(奈良市)の遊歩道付近でも、新たに約30本が群生しているのを同会が発見した。

 同会から通報を受けた県では、担当者らがカエンタケをスコップで掘り起こして駆除し、周辺に「触らないで」などと書いた看板を設置するなどして注意を喚起。幸いこれまでカエンタケによる人や動物の被害は確認されていない。

■毒キノコは40種以上

「殺しのエンジェル」と呼ばれる猛毒のドクツルタケ(奈良きのこの会提供)

「殺しのエンジェル」と呼ばれる猛毒のドクツルタケ(奈良きのこの会提供)

 キノコは、山の木々の根元付近や、朽ちた木から生じる。文字通り、「木の子」を意味する菌類だ。

 林野庁によると、日本に存在するキノコの種類は4千~5千で、うちシイタケやマツタケなど、食べることができるのは約100種類。一方、毒キノコは約40種類が確認されているが、それ以外の大半は毒があるかどうかも不明という。

 厚労省によると、昨年の毒キノコによる食中毒の発生は24件で、患者数は85人。年間を通じて最も被害が多いのは、行楽シーズン真っ盛りの秋で、年間被害のほぼ大半が9月と10月に集中するという。

 一方、キノコ自体は秋以外でも年中生えることから「常に油断はできない」と下原さんは話す。

■名人泣かせ:見分けがつかない毒キノコ

 ところで、カエンタケ以外にも、危険な毒キノコは多く存在する。下原さんがその筆頭に挙げるのが「名人泣かせ」の異名を持つ「クサウラベニタケ」だ。食用の「ウラベニホテイシメジ」とよく似ており、キノコの専門家でさえ、見分けるのは難しいという。

 今年9月には、秋田や山形、広島、岡山などでクサウラベニタケの食中毒被害が発生。山に恵まれ、野生のキノコが豊富な長野県では、毎年9~月、各市町村でキノコの鑑別相談窓口を開設。「きのこ衛生指導員」が鑑別するが、クサウラベニタケとウラベニホテイシメジを混在して持参するケースが多いといい、最も誤食の多い毒キノコの1つとされる。

 このほか、「1本食べたら死ぬ」(下原さん)という、真っ白な「ドクツルタケ」や、シイタケやヒラタケとよく似た「ツキヨタケ」も注意が必要だ。

今年9月、春日山遊歩道付近で見つかったカエンタケ(奈良きのこの会提供)

今年9月、春日山遊歩道付近で見つかったカエンタケ(奈良きのこの会提供)

 林野庁によると、今年の食中毒被害で多い事例は、昨年まで食用キノコが生えていた場所によく似た毒キノコが生えていて、誤って採集し食べてしまうケース。担当者は「毎年同じ場所に生えるキノコだから大丈夫、とはいえない」と警告する。

 「造形美や色合い、こんなものが自然にあるのかと思うと不思議で、私にとっての癒やし」。下原さんはキノコの魅力を熱く語る。だからこそ、その裏に潜む危険性を「正しく知ってほしい」といい、こう強調した。

 「毒キノコを見分ける迷信や言い伝えを信用してはだめ。キノコの形や特徴を1つ1つ覚える。食用かどうかの判断は、本当に慣れた人に任せる。図鑑の絵合わせをして素人判断で食べるのは控えてほしい」(浜川太一)

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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)

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