木簡が伝える酒造り、「地下の正倉院展」 奈文研・平城宮跡資料館で
奈良時代の平城宮で酒や酢の醸造をつかさどった役所、造酒司(ぞうしゅし)の存在を示す木簡群が今年、重要文化財に指定されたことを記念する特別展「地下の正倉院展-造酒司木簡の世界」が奈良市の奈良文化財研究所・平城宮跡資料館で開かれている。3期に分けて計75点の木簡を入れ替えて公開。現在はⅡ期(15日まで)で、Ⅲ期は17~29日。
木簡群は昭和40年に出土。建物跡や井戸が見つかった平城宮跡・内裏東側の調査地が造酒司だったことを特定する根拠となった史料で、日常の酒造りや聖武天皇の大嘗祭(即位して最初の新嘗祭)について知ることができ、568点が重文に指定された。
今回はその中からえりすぐった木簡を展示。このうち、「清酒中」と記された木簡はラベルのようにわずか3文字が簡潔に記され、読みやすい。「中」は酒の等級かもしれないという。
また、「三条七」と記載の木簡は甕(かめ)を整然と並べた位置関係を示すもので、3列目の7番目の意味。少なくとも21個の甕が並んでいたことになる。丹波国からの赤米や備後国からの白米の荷札などもあり、各地から米が届いたことがうかがえる。
大嘗祭関係では、造酒司が準備する草木などを書き上げたリストが興味深く、「真前葛(まさきかずら)」などは「延喜式」の規定と一致する。
このほか、甕にかけたひもに付ける封泥(封をする粘土)に押印した可能性のある銅印や、騎馬人物を彫った版木らしい遺物なども並んでいる。
月曜休館、無料。問い合わせは、奈良文化財研究所連携推進課(☎0742・30・6753)。
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