やっと落札されたけれど…ドリームランド跡地どう開発されるのか 市長も注視
平成18年に閉園以降、遊具や建物がそのまま放置されていた奈良市の「奈良ドリームランド」跡地(約30ヘクタール)。10日に行われた再公売で、ビル賃貸業「SKハウジング」(大阪市北区)に最低入札価格(7億3千万円)で落札されたが、同社は「具体的にどう再開発するかは決まっていない」とする。市中心部の広大な土地はどう活用されるのか、注目される。
この日の公売に応札したのはSKハウジングのみ。落札の報告を受けた仲川げん市長は産経新聞の取材に対し、「(滞納された)税回収という意味では正直ホッとしている」と話す一方、「跡地開発については、今まで通り規制緩和はしない方針に変わりがない。まちづくりの観点からは、落札した業者がどのような計画を持っているのか関心がある。今後の開発は民間のこととなるが、市としては法運用の範囲でできることはある」と述べ、開発の仕方について今後も注視していくことを明らかにした。
業者側から1週間以内に納金されれば、落札が正式に決まる。
だが、跡地には約30の遊具のほか、立体駐車場など75の建物が放置されたままで、数億円とみられる撤去費用は落札者負担。さらに、跡地は市街化調整区域や風致地区に指定されているため、建設できるのは医療施設や社会福祉施設、学校、スポーツ施設などに限られる。
テーマパークとしての再利用は可能だが、改めて建造物を建てるには、現在の市条例により、10メートル以下の建造物しか建てられない。市開発指導課によると、SKハウジングからは事前に跡地に関する相談などはなかったという。
落札後、取材に応じたSKハウジングの担当者は再開発について、「詳しくは決まっていない」とする一方、「規制の問題はクリアできる」と回答。現状の規制下で、収益性のある再開発は可能との認識を示した。
同社は大阪のほか東京、仙台、福岡などでオフィスビルやタワーマンションの賃貸事業を展開。24年には大阪・心斎橋のオフィスビルを約50億円で、今年6月には大阪・船場のオフィスビルを約100億円で取得するなど、積極的な不動産投資を行っているが、ドリームランド跡地のような大規模な土地の再開発は「社として初の試みになる」(担当者)という。
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