【私の働き方】「好き」を仕事に ファッションスタイリスト 岩澤奈穂さん
自分に似合うスタイルや色を知ってほしい―。そんな思いから2年ほど前に自宅でファッションアドバイスを行うサロンを立ち上げた奈良市の主婦、岩澤奈穂さん(42)。もともとおしゃれや買い物が大好きで、〝好き〟を仕事にするため資格取得の勉強などに打ち込んできた。その人の魅力がアップするような色を見つけたり、骨格から似合う服のタイプを教えたり…。スタイリストとして「お客さまの役に立てることがなによりうれしい」と笑顔を見せる。
◆好きなことを模索
薄いブルーのシャツにストール、パンツスタイルがはつらつとした表情によく似合う。平成15年春、自宅サロン「Tasting Life」をスタートさせた岩澤さんは、「こうやって自分の好きなことをできるのは周囲の人や家族のおかげ」と話す。
生まれも育ちも奈良。高校卒業後に父親の海外赴任に伴い、米国のシカゴで4年間過ごした。帰国後は会社や研究機関の事務職として働き、結婚。平成14年の長女の出産を機に、仕事はやめた。
子育て中は自分のことはなかなかできないが、割り切って楽しんだ。なにより1日1日変わっていく子供の成長を見るのが「いとおしく、おもしろかった」という。
娘が幼稚園に入園すると空き時間が増え、「好きなことで人の役に立てる仕事ができないか」と模索するように。母が「色」の知識や効果について学ぶカラーコーディネートの資格を取得していたこともあり、やがて自分も取得を目指すようになった。
◆魅せる方法アドバイス
もともと、自身も大のおしゃれ好き。「好きなことを追求して人の役に立ちたい」という思いから、勉強にも熱が入った。色だけでなく、骨格を見て似合う服の素材やデザインを判断する「骨格診断」にも興味を持ち、講座を受けに行くなど積極的に行動。それぞれの資格を取り、自信をつけた。
自宅に開いたサロンでは、マンツーマンで骨格診断やその人に合う色を考える。似合う色や服、バッグ、ストールなどを活用し、その人の魅力を最大限に引き出すにはどうしたらいいかアドバイスしている。
一緒に店を訪れて服を選ぶ「同行ショッピング」も。「入学式の服装はどうすればいいか」「職場復帰するときの服装は」…。まずは話をよく聞き、目的やなりたいイメージ、着ていく場所や場面にあった服装をアドバイスしている。
「明日着ていく服がない、今着ている服が似合っているか分からない、と悩む人は多い。流行に関係なくおしゃれに魅せる方法を提案したい」
◆切り替え上手に
自宅サロンで使うのは、庭に面した明るく開放的なリビング。当初は家事がたまり、夫(44)に居心地の悪い思いをさせたこともある。だが、「『分かってくれない』と否定的に思うのではなく、本音で真剣に自分がしたいことを話すようにした」結果、理解し、応援してくれるように。次第に家事との両立もバランスを取れるようになった。
中学1年の長女はおしゃれに興味津々な年ごろ。「一緒に買い物に出かけると、『あれ、ママに似合う色だね』と見つけてくれるのがうれしい」と喜ぶ。
家事については「できないときはできないと家族には言っている」と笑い、「大事なのは切り替え力」と強調する。そのためにもスケジュールを詰め込むのではなく、1日は「家事をする日」を作るなど柔軟な働き方をしている。
来年に本格的な起業を目指している岩澤さん。「家族で休日に出かけるときは『服に紺色を取り入れよう』とか提案してそろえるんですよ」。生き生きとした笑顔が光っていた。(有川真理)
【プロフィル】 岩澤奈穂(いわさわ・なほ)さん。昭和48年生まれ。夫と長女の3人家族。おしゃれが大好きな母や祖母を見て育つ。事務職を経て平成12年に結婚、2年後に長女を出産。現在は自宅サロン「Tasting Life」のほか、県内の主婦らでつくる「奈良のママが仕事をつくる会」(ナラマーシカ)のメンバーとしても活動。イベントや講座などでおしゃれのアドバイスを送る。自宅サロンは奈良市の奈良公園近くで、完全予約制。問い合わせはメール(tastinglife21@gmail.com)で。
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