薬のまち復活へ 宇陀市で大和トウキ1トン収穫 大手に売り込みも
薬草による街づくりをめざし、昨年から本格的に薬草「大和トウキ」の栽培が始まった宇陀市で先月収穫が行われ、生産量が約1㌧に達した。収穫された大和トウキの根は調整後、薬草問屋などに販売される。市は栽培がビジネスベースで発展できるよう支援していく方針だ。
宇陀市では江戸時代に民間初の薬草園が開設され、薬問屋が軒を並べる「薬の街」として発展した。その後薬草栽培は衰退したが、かつての勢いを復活させて農家所得の向上や地域活性化につなげようと、市が平成26年、県や大和トウキの栽培をめざす農家などと宇陀市薬草協議会を結成した。
協議会では27年4月、種から育てた大和トウキの苗を初めて農家など35軒に配布。各家庭で約8カ月かけ栽培された。12月中旬、栽培された大和トウキの根を買い取った結果、買い取り量は約1トンにのぼった。
4人グループで250キロ以上を栽培した藤田貢さん(70)は大きな根を示しつつ、「途中で雑草は取らなければならないが、栽培しやすい薬草だと思う」。一方、元市職員の大西茂さん(61)は「今年も栽培したいが難しい面もあるので、高齢者でもつくれるように栽培を指導するシステムをつくってほしい」と話す。
大和トウキはセリ科の植物。根が漢方薬の原料「生薬」となり、鎮痛や血行を良くする薬効があるとされる。古くから県内各地で栽培され、「大和当帰」として品質が良いことが知られていた。
協議会では買い取った根を乾燥後、湯をかけてもみ洗いする「湯もみ」を実施。再び乾燥させて、今年5月ごろには生薬問屋などに販売する計画だ。
協議会会長の山口武さん(62)は「みなさん栽培は素人だが、初めてとしては上出来だと思う」。また、竹内幹郎市長は「10年後にはビジネスベースに乗り、農家の所得が向上するように支援していきたい。ニーズがあれば宇陀産の大和トウキを製薬会社にも売り込みたい」と話している。
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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)