がんばるシニア、53種収録の鳥図鑑制作 奈良フェニックス大学生
55歳以上のシニア世代が交流し、地域社会への貢献を目指し学ぶ年間講座「奈良フェニックス大学」(大和郡山市)の在校生とOB・OGが、手作りの鳥図鑑「おきにいり 身近に観られる野鳥たち」を発刊した。写真撮影やデータ作成もすべてメンバーで取り組み、全53種類の鳥を収録した力作。制作にかかわったメンバーは「野鳥観察から環境保護を考えるきっかけになれば」と話している。
■1年半かけ図鑑制作
図鑑を制作したのは奈良フェニックス大学のOB・OGでつくる「奈良フェニックスの会」と、在校生でつくる「野鳥観察クラブ」のメンバー51人。フェニックスの会顧問の笹野義一さん(66)らが「野鳥観察に役立ち、奈良の自然を大切にしようと思えるような図鑑をつくろう」と平成26年秋から制作を開始。毎月1回、15人ほどで観察会を開き、データや写真を収集した〝成果〟だ。
主な観察場所は奈良公園(奈良市)、平城宮跡(同)、郡山城周辺(大和郡山市)、馬見丘陵公園(河合町、広陵町)など。記者も参加させてもらった4月の観察会には約20人が参加、郡山城周辺を午前10時から約2時間かけて散策した。
メンバーは双眼鏡やカメラを持参し、チェックシートに観察した鳥の種類や生態について書き込んでいた。「午前中の方が鳥も活発なんです」という笹野さんの言葉通り、県立郡山高校に隣接する池にはカワウやサギ、ツグミなどの姿が。「スズメやカラスでも、よく見るときれいなんですよ」と笹野さんが言うとおり、双眼鏡を通して見る鳥の姿は実に色彩豊か。羽の美しさなどもそれぞれの鳥で異なっていて、驚きの連続だった。
■メンバーごとに「マイバード」
図鑑作りにあたっては、メンバー一人一人が担当する鳥「マイバード」と地域「マイフィールド」を決めた。県内でも北和、中和と地域が異なれば、生息する野鳥の種類も違うため、メンバーはそれぞれの居住地で「マイバード」を設定、その生態を長期的に観察しているという。
図鑑で特徴的なのは、担当者が執筆した鳥に関する一言コラム。「お気に入り」「出会い」「おどろき」など3項目について、鳥への思いをつづっている。写真は高性能なカメラではなく、それぞれが持つコンパクトデジカメなどで撮影した〝手作り感〟も、図鑑の魅力の一つだ。
■目標は野鳥データベース
編集の際は大学事務局に集まり、担当エリアや鳥についてメンバーがプレゼンテーション。「どのように鳥の種類を識別したか」、「どこで撮影したのか」など議論を重ねた。
掲載されているのはサギやカモなど、身近な鳥たちが中心だ。「住宅街や公園など、近くで気軽に見られる鳥ばかり集めた」と話す笹野さんは、「少しでも鳥たちの住む環境や自然について関心を持ってもらえたら」と、身近な環境について考えるきっかけになればと願っている。
目標は、県内の「野鳥データベース」構築。図鑑自体も鳥の種類を増やすなど、改良を重ねていくつもりだという。
図鑑は税込み300円。問い合わせ、注文は笹野さんまでメール(yosibo.s@gmail.com)で。
(神田啓晴)
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