「よく見つけてくれた」、研究者も驚く 大型円形周溝墓、奈良県内初発見
橿原市の瀬田遺跡で発見された弥生時代末期(2世紀中ごろ~後半)の陸橋を持つ大型円形周溝墓(直径約31メートル)。3世紀代の「出現期」の古墳が点在する桜井市の纒向遺跡にある前方後円墳(纒向型前方後円墳)に似た形で、その原型とも考えられる。調査にあたった奈良文化財研究所の担当者や考古学の専門家らは予想しなかった「県内初の発見」に驚いている。
現場は纒向遺跡の南西約7キロの藤原京跡の一角。「ポリテクセンター奈良」の庁舎建て替えに伴い、奈文研が昨年11月から約2千平方メートルを発掘。墳丘が削られた大型円形周溝墓が現れた。
普段は藤原京に関連する飛鳥時代の建物遺構などの調査が多い奈文研の担当者には大きな驚きで、森川実主任研究員は「このような遺構が見つかるとは思わなかった。『大変だ』と思った」と話す。
前方後円墳の原型で、前方後円墳に発展すると考えられる大型円形周溝墓はこれまで、県内(奈良盆地)では見つかっていなかった。
纒向遺跡の調査経験があり、12日に現場を訪れた石野博信・兵庫県立考古博物館名誉館長は「『よく見つけてくれた』という思い。当時、大和盆地にはこのような大型円形周溝墓がいくつかあったと考えられる。まだよくわかっていない『纒向遺跡に大型の前方後円墳が出現する以前の姿』、『纒向遺跡を営んだ主体者は誰か』などを研究する資料にもなる」とする。
また黒崎直・大阪府立弥生文化博物館長は「古墳ではなく『弥生の墓』で、規模から大きな力を持っていた『権力者』の墓と考えていいだろう」と話した。
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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)