宝蔵院流槍術の創始者・胤栄の位牌、発見法要営まれる
奈良発祥の古武道「宝蔵院流槍術」の創始者とされる僧胤栄(1521―1607)の位牌と尊像が大阪府箕面市内の個人宅で見つかり21日、奈良市の興善寺で流派関係者らが出席して「発見法要」が営まれた。
宝蔵院は興福寺の子院で、初代院主の胤栄は約460年前、穂先が十字型の「十文字槍」を使う宝蔵院流槍術を創始。この槍は「突けば槍、薙げば薙刀、引けば鎌」と評され、攻防どちらにも優れた槍術として発展。江戸時代には多くの藩で取り入れられ、国内最大の流派として栄えた。
胤栄の位牌と尊像は今月、大阪府箕面市の7代目院主・胤賀(明治40年没)のひ孫、山田静子さん(95)宅で見つかった。山田さんによると、胤賀は明治初期、廃仏毀釈の被害を避けるため初代~5代の位牌を、宝蔵院から避難させた。その後山田さんの父、正士さんが昭和初期に2~5代の院主の位牌を興善寺に預けたが、胤栄の位牌と尊像は、山田さんらが大切に保管していた。
初代の位牌を探していた同寺の関係者が今月8日、檀家の山田さん宅にあるのを確認、法要のため山田さんが位牌などを興善寺に運んできた。
法要には歴代院主の子孫らも含めて約30人が参列。興善寺の森田康友住職(45)は「初代~5代の位牌が100年ぶりに並んだことはありがたい。初代の位牌と尊像は今後も山田さんらに大切に供養していってもらえれば」と話した。
山田さんは「立派な法要を営んでいただき感動、感謝しています。先祖代々大切にしてきた位牌と尊像は今後も守っていきたい」と話していた。
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