慣れない業務にストレス…小学生に暴行、前児童相談所次長の「心の闇」
子供を守るべきはずの児童相談所職員の「ストレス」は、幼い小学生に向けられていた―。登校中の小学1年生にかばんをぶつけたとして1日、県警に暴行容疑で書類送検された「中央こども家庭相談センター」(奈良市)の前次長(60)=現・県こども家庭課付。かばんをぶつける行為は半年間にわたっていたという。なぜ防げなかったのか、今後の検証が必要となっている。
「子供の安全安心を守るという職場の使命から考えて、ありえないことが起こってしまった」
センターの笹川宏樹所長はこう話す。笹川所長によると、次長は平成26年4月に就任し、管理職としてセンターの事務を担当。虐待を受けた子供やその家族らに対応する相談業務には携わっていなかった。
だが、県の聞き取りに対し前次長は、「これまで経験がない業務で、子供への不信感が募り、ストレスがたまった」と説明。当初は通勤時に歩道に広がって歩く児童と接触しないよう、かばんで身を守っていたというが、だんだんと「進路を邪魔する子供にはぶつかってもよい」と思い、かばんで払いのけるようになったと話したという。
「真面目で勤務態度に問題はなかった」とされる職場での姿とは、大きく異なる通勤時の行動。「福祉畑」というこれまで経験のない分野の仕事に就いたため、子供へのストレスを肥大化させていった可能性も指摘されている。
笹川所長は「次長には、相談内容の報告はあがってくる。子供と接することはないが、いろんなケースを見聞きし、ストレスを感じていたのも背景要因にあったのかもしれない」と推察しつつ、「気づけなかったのは私の責任。職員のメンタル面のサポートを徹底したい」と話す。
県によるとセンターの所長は、児童福祉司としての経験年数など児童福祉法で定められた要件に合致する人が就くが、次長には特に必要な資格はない。センターには前次長の暴行が報じられてから、「子供を守らないといけない立場で考えられない」といった苦情が複数寄せられているという。
虐待問題に詳しい関西学院大学の才村純教授は児相職員の仕事について、「虐待の通告件数が年々増える中、少ない人員で対応する児相の仕事はストレスフル。一歩間違えると、大きな批判にさらされる」と指摘。本来こうした職員に気を配る役目であった次長自身の暴行について「子供、特に虐待や暴行を受けた人を守る『とりで』である児相の職員が小学生に暴行するとは驚きを禁じ得ず、論外だ」と厳しく批判している。
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