万葉集に影響受けた斎藤茂吉の作風を解説 万葉文化館で記念講演
明日香村の県立万葉文化館で22日、開館14周年を記念したフォーラムが開かれ、東京大の品田悦一(よしかず)教授が「『万葉調』の虚像と実像-斎藤茂吉における已然(いぜん)形の異常な用法-」と題した講演を行った。万葉集の愛好者ら約150人が熱のこもった話に聞き入った。
品田教授は古代日本文学(歌謡と和歌)などが専門。この日は、万葉集に影響を受けた歌人、斎藤茂吉の作風について、これまでの研究をもとに講演した。
「万葉集の語法を現代によみがえらせた」とする斎藤茂吉に対する一般的な評価について品田教授は、茂吉の、已然形という文語体における活用形の使い方に着目し、「茂吉の語法は万葉集の語法とは似て非なるもの」と指摘。
その上で、茂吉は既成の文法規則にとらわれず、「万葉集に実在しない『万葉語』を創造し、前人未到の表現の領域を開拓した」と評価。異常な言い回しをすることで、「私たちがふだん当たり前と思っている世界に、不気味さや違和感を喚起させる」と話した。
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