用地買収進まねば被害直撃も 水害備える遊水地整備進まず、知事強い懸念
東日本豪雨の鬼怒川堤防決壊を受け、荒井正吾知事は24日の定例記者会見で、県内を流れる大和川が氾濫する可能性について、「あのぐらいの雨量だと、確実に決壊する。茨城県常総市での被害をはるかに超えるだろう」と述べ、強い危機感を示した。
大和川の河川整備をめぐって県は平成25年、国土交通省に対し、水位上昇を抑制する約100万立方メートルの遊水地を早期に整備するよう要請。事業費の3分の1は県が負担する。だが、住民の合意が必要な用地買収が進まず、本格整備はできていないのが現状だ。
荒井知事は「熱心な町や協力的な地域もあるが、なかなか進まない。県は事業費を負担するが、用地買収は町が率先してやってくれないと。被害が直撃しますよ、と言いたい」と懸念をあらわにした。
大和川流域では昭和57年の大水害で大規模な洪水が起こったほか、平成に入ってからも大雨により大和川が増水。住宅浸水や、道路の冠水などの被害が発生している。
河川氾濫の際の避難指示について荒井知事は「同じ流域でも市町村ごとに避難指示が分かれるのではなく、流域全体で合同の避難マニュアルがあったほうがよい」と指摘。今後、市町村へ呼び掛けていく方針を示した。
一方、茨城県常総市で豪雨被害による行方不明者の数が錯綜したことについて、「捜索のためであれば、行方不明者を特定するために(名前を)公表することは大事。ただ、公表が前提ではない」と話した。
【関連記事】奈良大阪県境の大和川、増水への不安は今後20年以上…近畿の堤防、4割が対策未了
【関連記事】【東日本豪雨】水害の度に堤防改修整備見直し 国交省「いたちごっこ状態」、ソフト対策が急務
【関連記事】【紀伊半島豪雨4年】10年後は大丈夫か、高齢者の避難に課題
【関連記事】【関西の議論】広島だけではない… 豪雨、台風、地震 人工造成地に迫る危険とは
【関連記事】奈良県でも大規模災害あった…江戸時代に震度6、7で100人単位の死者
(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)