【鹿角抄】なんと!未回収債権82億円 台所火の車の奈良市
固定資産税滞納物件として公売にかけられた奈良ドリームランド跡地のように、税金の未納問題はよく耳にするが、自治体の未回収債権にはさまざまなものがある。そして、その累積額は決して少なくはない。
奈良市の場合、平成26年度末時点での未回収債権は約82億6500万円にも上る。最も金額が大きい項目は税金滞納で、32億7千万円。ほかは国民健康保険料滞納などが約20億円、生活保護費の不正受給などが約10億円、市営住宅の家賃などが約6億4千万円。市では回収に努めているが、相当な手間や時間がかかる事案、回収はほぼ見込めない事案もあるという。
今年の9月議会では、市が再生資源として収集した空き缶の売却代約6800万円が未回収となっている問題が指摘された。代金を支払っていないリサイクル業者は指名競争入札で落札した業者なのだが、実はこの業者、20年度下半期分の代金880万円が未払いのまま22年度にも落札し、22年度分の3700万円も未払い。市は計4600万円の支払い督促を奈良簡裁に申し立てていたが、業者側が異議を申し立てたため、民事訴訟に移行した。
2年前の代金が未払いの業者が再び落札すること自体、普通に考えればあり得ない話だ。市によると、22年5月の入札要領改訂で代金未払いの業者には入札参加停止措置をとることになっていたが、「通知が担当課に届いていなかった」ため、この業者の参加を許可してしまったのだという。
空き缶のリサイクルをめぐってはこの業者のほか、2社分計2200万円が未回収。実は、市が請求書に支払期限を書き忘れていたため、法的措置も難しいという。しかも1社はすでに倒産しているというから、回収はほぼ絶望的だ。議会では「ずさんにもほどがある」「怠慢では」と厳しい指摘が相次いだ。
今年度末の市債残高が約2100億円と見込まれ、市税収入が減少傾向にある奈良市の財政事情は決して楽観できるものではない。民間出身の市長らしさを、未回収債権問題にも生かしてほしいと思う。(桑島浩任)
【関連記事】
ドリームランド跡地、正式売却決定 「開発何も決まっていない」
ようやく!奈良ドリームランド跡地、大阪のビル賃貸業者が落札 7億3千万円で
(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)