児童虐待は夫婦の不和に原因あり 経済的問題も要因
平成24~25年度に県や市町村が対応した児童の虐待事例を調べたところ、約71%でDV(ドメスティックバイオレンス、家庭内暴力)や夫婦不和など家庭環境に問題があり、約43%では経済的な問題を抱えていたことが県の調査で分かった。県は「家族関係の安定や家庭環境への支援にこれまで以上に力を入れたい」としている。
調査は24~25年度の2年間で虐待を受けた児童4045人のうち、虐待の「重症度」が、慢性的なけがやネグレクトなどに相当する「中度以上」と判定された982人について、詳細に分析。昨年12月2日に公表した。
調査によると982人のうち、最も多かったのは0歳児で、5歳児、4歳児と続いた。虐待の種別では、殴る蹴るなどの身体的虐待が57・8%と最も多く、続いて育児放棄のネグレクト、暴言を浴びせるなどの心理的虐待の順だった。
子供の家庭環境をみると、71・2%が問題を抱えていることが判明。最も多かったのは父母の不和で27・5%、続いて父母の別居25・8%、父母間の暴力(家庭内DV)24・6%で、親同士のもめ事がトップ3を占めている。
また、過去1年以内に生活環境の変化があった子供は51・4%。うち、具体的な理由としては「父母の離婚」が32・3%、「転居」が29・1%だった。一方、生活的に困窮している家庭や生活保護を受給している家庭は43・7%に上り、苦しい経済状況も要因の一端となっていることが伺える。
また、子供の養育者の75・3%に「衝動的」「攻撃的」「未熟」など、性格的な問題があり、子供に対して「態度の急変」「けなす」「疎ましいと感じる」といった否定的な感情を持ったり、態度を取る傾向が見受けられた。
さらに、養育者の39・1%には鬱病など、精神的な問題が。県こども家庭課は「リスクをいかに早く把握し支援につなげるかが大切だ。関係機関との連携をこれからも強化したい」と話す。
県では調査結果を受け、それぞれ課題の解決方法や具体的な施策について29年度に改訂する「児童虐待防止アクションプラン」に反映させる方針。担当者は「市町村で怒鳴らない子育て方法を指導するトレーナーの養成の行うなど家庭への支援の充実を図っていきたい」と話している。
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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)