怒鳴らない子育てをしよう 県が指導者養成 保護者に〝伝授〟
子育てやしつけに不安や悩みを抱える親などを支援しようと県は地域で「怒鳴らない子育て方法」を教える指導者を養成している。増加する児童虐待の未然防止が最大の目的。平成23年度から全国の市町村や児童相談所で活用されている支援プログラム「どならない子育て練習法」を使った指導者の養成講座を開講し、これまでに186人の指導者を育てた。
養成講座は、各市町村で子育て支援や児童虐待に携わる職員やNPO職員などが対象。講座を修了した後は、指導者としてそれぞれの地域で保護者らの相談に乗ったり、講座を開いたりして支援プログラムを広める。
県こども家庭課の担当者は、「意図が子供にうまく伝わらず思わず怒鳴ってしまうなど、しつけで悩む親は多い」と指摘。「子供にどんな風に言えばいいのか、効果的に分かりやすく伝えるにはどうしたらいいのかを学んでほしい」と話す。
こうしたプログラム導入の背景には、県内の児童虐待の増加や深刻化がある。同課によると、24~25年度の2年間で虐待を受けた児童4045人のうち、虐待の「重症度」が、慢性的なけがやネグレクトなどに相当する「中度以上」と判定されたのは982人にも上った。
児童虐待の早期発見や未然防止のためには、地域の身近な支援が欠かせない。担当者は「講座が市町村職員のスキルアップや、新たな子育て支援事業の展開につながれば。子育て中の親にプログラムを教えられる指導者をもっと増やしていきたい」としている。
怒鳴らずにしつける言い方はこれだ!
「どならない子育て練習法」によると、子供をしつけるときには、具体的に簡潔に伝えることがポイントとなるという。
例えば、自宅に来客がきたとき子供が騒いだら―。子供に「ちゃんとしなさい!ママはずかしいでしょう」と怒るのではなく、「お客さんが来ているときは、『こんにちは』とあいさつをして、お部屋に入ってね」など、具体的に分かりやすく伝える。
また、姉が妹のおもちゃを奪ってけんかになったときには、「妹の物を取ったらダメでしょう!」と怒るのではなく、「使いたいときは妹に使っていいか聞こうね」と話しかける方が効果的だという。
たたいたり、怒鳴ったりするしつけ方は、子供に恐怖心を与え、親子のコミュニケーションが悪化。子供の成長に一番必要な親子関係に〝傷〟がつくほか、結果的に親の指示が子供に伝わりにくくなり、子供の問題行動は増加してしまう悪循環に陥る。
県こども家庭課は「『どならない子育て練習法』について詳しく知りたい人は、居住している市町村にまずは問い合わせてみて」としている。
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