【鹿角抄】男女が認め合う社会なら お互いが生きやすい
昨年から県内の働く女性の取材を続けている。遠回りをしながらも夢を実現させた人や、こつこつと地道に働いてきた人。取材では家事に育児にてんてこ舞いだった時期などでも悲壮感をみせず、さまざまな葛藤を乗り越えてきた女性たちの力強さを感じ、元気をもらっている。
「深く考えることはない。楽観的がいい」「男性とはちがって当たり前。女性ならではの感性を大切にしたい」。明るく話す女性たちの姿は、世間体にとらわれない柔軟な生き方を表しているような気がして、気持ちが軽くなる。
だが一方で、まだまだ世間の枠に縛られたり、周囲のサポートがなかったりして、「働きたくても働けない」女性は多い。こうした女性たちにとって何かを始める、踏み出せる参考になれば…という思いで記事を書いている。
子育て中の女性の就職や起業を支援する「ウィメンズフューチャーセンター」(奈良市)代表の栗本恭子さんは「女性が働くためには家族の理解や協力は欠かせない。ママが働くことに対して、とまどう夫もけっこう多い」と指摘する。同センターでは、女性が働き出したときに備え、夫や子供が協力してくれるようなコミュニケーション方法も講座の中で教えていると聞き、驚いた。
政府が「女性の活躍」を掲げてから、県でも「女性の活躍促進会議」や女性の起業家支援、翻訳家養成講座の取り組みなどに力を入れるようになった。最近は女性が家庭と両立させながら働くためには、「男性の長時間勤務」も見直す必要があるという意見も大きい。社会が多様化する中、男女関係なくワーク・ライフ・バランスをどうするのかといった議論はこれからますます盛んになってくるだろう。
女性が働くためには、周囲の固定的な意識や価値観が変わらなければ進まない。一朝一夕では無理だろうが、いろんな働き方、生き方を認め合える柔軟性のある社会が、女性も男性も生きやすい社会になると思い、取材を続けている。(有川真理)
【関連記事】
【私の働き方】「楽観的思考」で家庭と両立 弁理士 松山徳子さん
いきいき生活へ、女性の活躍支援講座 2月6日と20日 参加者募集
【鹿角抄】見落とした大切な視点 いつまでも「移住者」じゃない
【鹿角抄】敬虔なムスリムも「イスラム国」の被害者 パルミラの写真展で考える
(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)