棺の底石全面に漆喰塗る? 斑鳩の竜田御坊山3号墳 床面平らにするためか
斑鳩町の竜田御坊山3号墳(7世紀)で昭和40年に見つかり、現在橿原考古学研究所付属博物館(橿原市)の中庭に展示されている同古墳の石槨(重文)を調査した結果、棺を置いた底石表面(石槨床面)のほぼ全面に漆喰が塗られていた可能性があることがわかり12日、同館が発表した。
同古墳の石槨に漆喰が使われていることは知られていたが、発見当時は床面の中央部や内部の側面では確認されていなかった。終末期古墳の床面で漆喰が見つかるのは珍しいという。
竜田御坊山3号墳の石槨は底石、蓋石、閉塞石の3つで構成。出土後約50年間、橿考研構内で屋外展示されていたが、館内で展示することになり、汚れなどを落とすクリーニングを行った結果、底石で漆喰の付着を発見。ほぼ全面に塗られていた可能性が出てきた。底石と蓋石が接合する部分にも漆喰があった。
同じ終末期古墳の高松塚古墳やキトラ古墳なども床面で漆喰が見つかっている。同館は「石材はきれいに加工されているが、床面を平らにするため、全面に漆喰が塗られた可能性がある」とみている。
これに対し、発見当時調査に当たった元橿考研副所長の泉森皎さんは「蓋石と底石の接合部分や2つと閉塞石が接合する部分にはたっぷり漆喰が使われていたが当時、床面や蓋石の内側に漆喰を塗った跡は見つからなかった。もし棺を置いた底石の中心部に漆喰があるなら、塗っていたのではなく雨水などによって接合部分から溶け出したものと考えられる」としている。
竜田御坊山3号墳の被葬者は、高位の文人らが想定されている。クリーニングされた石槨と同時に見つかった漆塗陶棺や琥珀枕、円面硯などは3月26日~4月17日、同館で公開される。
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