生き物にも施し「生飯投げ」 東大寺のお水取り
2016年03月5日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
正午、鐘が鳴り渡ると、東大寺二月堂の修二会(お水取り)に籠もっている練行衆たちは二月堂下に参籠宿所と並ぶ食堂に入った。日に1回の正式な食事「食作法」の始まりだ。
食事は飯や煮物、みそ汁などで、食堂へ運び込まれる際にはいい香りが漂う。食前には祈願が半時間ほど続き、その声は食堂の外にももれ聞こえてくる。食作法も行の一環なのだ。
やがて食堂から練行衆が1人ずつ姿を現すと、近くの閼伽井(あかい)屋(井戸)の屋根に向かって小さな紙包みを投げた。鳥獣へも一握りの飯を施す「生飯(さば)投げ」。これも生き物を思う大切な作法だ。
4日は日中の最高気温が20度近いポカポカ陽気に。連日連夜、厳しい行法を続ける練行衆の顔も和んでいるように見えた。
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