遺産観光の可能性を議論 国連世界観光機関が奈良市で国際会議
国連世界観光機関(UNWTO)と観光庁が共催する「UNWTO遺産観光に関する国際会議~どのように磨き上げ、魅せ、守るか~」が奈良市の東大寺文化センターで開催され、各国観光行政の関係者ら約170人が参加した。
日本は昨秋、UNWTOの執行理事国に就任。会議は2月25、26日の2日間の日程で行われ、遺産観光や文化財の保護について議論が交わされた。
25日に行われたシンポジウムでは、「保存と活用の両立」がテーマに取り上げられ、国連教育科学文化機関(UNESCO)のムニール・ブシュナキ・アラブ地域センター所長が、世界遺産のアンコールワット(カンボジア)について言及。「1992年以前は木に覆われ、保存状態も悲惨だったアンコールワットだが、ユネスコが地域住民らに文化財の重要性について説明したことで、補修や保存作業が進んだ」などとし、遺産の管理には地域コミュニティーの協力が不可欠であることを強調した。
北大観光学高等研究センターの西山徳明センター長は「日本における遺産管理と観光」と題し講演。沖縄県竹富島で、伝統的建築物や伝統行事などが観光客やリゾート開発などからどのように守られているかを解説し、「文化財保護行政は市民の参加により紡がれる」などと訴えた。
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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)