あふれる神秘の世界、あなたは体感しましたか? 「藤城清治 光のメルヘン展」
90歳を超えてなお精力的に創作活動を続ける影絵作家、藤城清治さんの作品を集めた「藤城清治 光のメルヘン展」。会場の県立美術館(奈良市登大路町)には過去の作品から県内の社寺を題材にした最新作まで約270点が並び、訪れる人たちを魅了している。
藤城さんといえば童話をテーマとした作品やオリジナルキャラクターのケロヨンなどメルヘンチックな世界観の作品で知られる。今回はこうしたイメージとは異なる重厚で荘厳な作品もあり、新たな「藤城ワールド」が垣間見られる。
県立美術館での藤城さんの展覧会は4年ぶり。当時のスケッチをもとに新たに制作されたのが「東大寺二月堂」「興福寺五重塔」など県内の社寺を題材にした影絵。「雪の室生寺」はフィルムを重ねて遠近感を出し、白く染まる室生寺を幻想的に浮かび上がらせた。また、「大神神社」は三輪山の奥から顔を出した朝日が三ツ鳥居と拝殿を照らす風景を、鏡と水を使い神秘的なシーンを演出。従来のファンタジーの世界とは異なる雰囲気を醸し出している。
17日に92歳の誕生日を迎える藤城さんは昨年に2度の手術を乗り越え、「今まで以上に生きる力と喜びが作品の中に生まれてきた」と語り、「法隆寺金堂 釈迦三尊像」といった仏像にもはじめてチャレンジできたと振り返る。
また今回は藤城さんの70年にわたる画業を270点の影絵、油彩、水彩などでたどる展示で、21年に渡って制作を続けたというイタリアの聖人を題材にした「アッシジの聖フランシスコ」の原画や、横6メートル、縦3メートルの壁一面に通天閣やあべのハルカスといった大阪の象徴的な建造物を配した圧倒的なスケールの「日本一大阪人パノラマ」も展示している。
さらに、動く影絵とその仕組みを併せて楽しめる「ミニ影絵シアター」もあり、藤城さんが監修したストーリー性のある展示構成で、一歩踏み入れると「藤城ワールド」が全開となる。
7月3日まで。開館は午前9時~午後5時(金曜と土曜は午後7時まで)。観覧料は一般1400円、高校・大学生千円、小学・中学生500円。月曜休館(ただし5月2日と6月13、20日は開館)。
主催は県立美術館、奈良テレビ放送、産経新聞社、関西テレビ放送で構成する実行委員会。休日を中心に混雑が予想される。
問い合わせは県立美術館(☎0742・23・3968)。
展覧会の公式ホームページ(http://www.ktv.jp/event/fujishiro_nara/index.html)でも混雑状況の情報を掲載している。
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