ユネスコ・アジア文化研究センターと協定 県の国際芸術村構想
県は、文化・芸術分野の人材交流のノウハウや海外への情報発信方法を学ぼうと、公益財団法人「ユネスコ・アジア文化センター」(ACCU・東京)と協働連携協定を結んだ。天理市杣之内地区を建設候補地として進める「県国際芸術家村」(仮称)の事業に生かすのが目的。荒井正吾知事は「芸術家のたまごが集う場所にしたい」と意気込んでいる。
協定締結は3月17日付。これまでのACCUの国際交流の実績をふまえ、担当者は「さまざまなアドバイスをもらい、芸術家村構想の発展につなげていきたい」としている。
ACCU奈良事務所(奈良市)ではこれまで、文化財保存・修復の知識や技術習得を目的にアジア太平洋地域から研修生を受け入れてきた。県によると、15人程度が約1カ月滞在する「集団研修」にはこれまでに35カ国から累計239人、6人程度が約1カ月滞在する「個人研修」は20カ国から累計63人が参加。また、200~300人の専門家が訪れる国際会議も年1回、開催している。
県はこうしたACCUと連携することによって、今後、芸術家村で国際会議やフォーラム、シンポジウムなどを積極的に開催するための協力体制や多言語による情報発信の強化につなげたいとしている。
3月18日に東京都で開かれた芸術家村構想の検討委員会では、委員から「複数の運営主体が競争するような形になれば効果が出るのでは」といった意見のほか、「取り組む分野が広範囲。横の連携や行政のマネジメント力が必要だ」といった指摘があったという。
一方、「県国際芸術家村」の建設候補地となった天理市で、県は地元関係者らを集めた初の企画協議会を開催。今年度からの事業開始に向け、地元の理解や協力を得ようと、構想の内容を説明した。
会議には、県内の金融機関や観光、農業関連団体、市商工会の代表者ら10人が出席。出席者が「国内にある類似施設とどんな違いをつけるのか」と質問したのに対し、一松旬・県地域振興部長は「県の一番の強みである歴史文化資源を生かし、文化財の修復拠点をつくり人材育成につなげる」などと説明した。
会議に参加した同市の藤井純一副市長は「事業は市の今後のまちづくりに大きな意味を持つ。各機関と連携し、地域経済の好循環を目指したい」と話していた。
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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)