【鹿角抄】エコパーク拡張 地域振興の起爆剤となるか
「同じユネスコでも、世界遺産は多くの人が知っているが、エコパークはほとんど知らなかった」「今まで関心がなかった」
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「エコパーク」に登録されている「大台ケ原・大峰山・大杉谷」(奈良、三重県)。3月に拡張登録が決まり、会見した県内の関係自治体の首長らはこんな感想を述べた。実は記者自身も、この取材をするまでエコパークの存在は知らなかった。
「ユネスコエコパーク」は、親しみを持ってもらおうと日本国内だけで使われている国内呼称で、正式名称は「生物圏保存地域」。世界での登録総数は120カ国、651地域(平成27年8月現在)で、国内では大台ケ原・大峰山・大杉谷のほか、志賀高原(群馬、長野県)、屋久島(鹿児島県)など計7カ所が登録されている。
「生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)」を目的としている取り組みというが、わかりにくい。
川上村にある森と水の源流館の企画調査班長、木村全邦さんに聞くと、「世界自然遺産が『人の手が入っていない原生的な自然』を指定するのに対し、エコパークは『人と自然が上手にお付き合いしている地域』を指定するもの」とわかりやすく教えてくれた。
今回3倍近くも拡張された大台ケ原・大峰山・大杉谷エコパーク。そのエリアは県内では、五條市、上北山、川上、天川、下北山、十津川村と広範囲にわたっている。それでも認知度が低いのは、昭和55年の登録が国主導だったことも背景にあるらしい。だが、会見した首長らは「地域振興に結びつけるために活用したい」「世界遺産とともに活用できる」「エコパークをしっかりPRしたい」と、今後の活用に向けた意気込みを語った。
県内にも外国人観光客が増える中、観光面でも大いに活用できそうだ。一方で、これらの地域は農林業により古くから自然の中で産業、人の暮らしが成り立ってきた地域でもある。新たな農林業振興も期待したい。 (山本岳夫)
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