一口に「コケ」といってもいろいろあるんです 川上村の森と水の源流館で観察
風薫る5月は、自然を楽しむのに良い季節。以前から気になっていた「コケ」に触れてみたいと思い、森と水の源流館(川上村)の企画調査班長、木村全邦さん(42)に、同村西河の「あきつの小野スポーツ公園」に連れて行ってもらった。
日陰になっている石垣でさっそく、「タマゴケがあります」と木村さん。観察用のルーペをのぞくと、繊細な葉の間からにゅっと不思議な球が突き出ている。これはコケの「胞子体」といい、「漫画『ゲゲゲの鬼太郎』の『目玉おやじ』のようでしょう。ユニークなので、最近人気です」と教えてくれた。周辺にはほかにもトヤマシノブゴケやオオトラノオゴケ、ニスビキカヤゴケなど、たくさんのコケが。
桜やイロハモミジの木漏れ日が降り注ぐ広場に移動した。広場の緑を指した木村さんは、「この緑は全部コケ。コケの園です」。ルーペで見ると、明るい緑色のコケの体「配偶体」が見えた。コツボゴケとコバノチョウチンゴケの群落なのだという。
万葉集には、吉野のコケの美しさを詠んだ歌がある。実は、コケの美しさに世界で最初に気づいたのは日本人なのだとか。「新緑の季節の今が、コケも一番美しい。コケを眺めてふと目を上げると、周りの景色がより輝いてきれいに見えます」と木村さんは話す。
公園の奥にある「蜻蛉(せいれい)の滝」に向かって行く途中にも、ニワツノゴケやオオシラガゴケなど、たくさんのコケが見られた。「吉野地域はコケの種類の多さ、希少性で世界的にもすごい所。感触や色、匂いなど五感を使って観察してほしい」と木村さん。吉野の魅力の奥深さに、改めて気づかされた。(山本岳夫)
「森と水の源流館」では、森や水、生物、自然、歴史、民俗、郷土料理などをテーマに「川上村エコツアー」を開催。コケの観察もできる。対象は小学生以上で、申し込みは10日前まで。日程は要相談。定員25人(最少催行人数10人)。有料。問い合わせは同館(☎0746・52・0888)。
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