景観配慮し遺跡活用 田原本の唐古・鍵遺跡の保存管理計画
田原本町が、全国最大級の弥生時代の環濠集落跡「唐古・鍵遺跡」(約42万平方メートル)の保存方針を示した保存管理計画を策定した。町はすでに遺跡の史跡部分(約10万平方メートル)を対象に公園化する整備事業を進めており、今後周辺景観にも配慮しながら、遺跡の積極的な活用をはかっていきたい考えだ。
唐古・鍵遺跡ではこれまでに110回を超える発掘調査が行われ、遺跡の規模が東西約700メートル、南北約800メートルと判明。環濠跡のほか、大型建物跡、青銅器炉跡、方形周溝墓、楼閣を描いた楼閣絵画土器などが見つかっている。
史跡公園は国道24号東側の唐古池周辺に整備され、多重環濠の復元ゾーンや花粉分析に基づいた植生で弥生時代の風景を再現するゾーン、弥生集落を表現するゾーンなどが設けられる計画。完成予定は平成30年。
今回まとまった保存管理計画では、史跡公園を多くの人に利用してもらうため、管理運営において町内の唐古・鍵考古学ミュージアムとの連携や、地域住民・ボランティアが積極的に参加できる体制整備の必要性を指摘。ミュージアムから史跡公園に至るルートの整備、近鉄田原本駅での公園利用者向けのレンタサイクルの充実などを提言している。
また「屋外広告物に関して史跡の景観にふさわしいものとなるべく、(所有者に)協力を求めていく。電柱は地下埋設を図る」とし、周辺景観形成の必要性も指摘した。
保存管理計画は考古の専門家ら8人の委員から成る委員会が策定した。
町は遺跡の活用に向けた取り組みを進めており、今年も訪れた人のサポートにあたる史跡公園ボランティア(2期生)を募集している。ボランティアになるためには5月~9月に計5回実施する講座の受講が必要。申し込み・問い合わせは田原本町教委文化財保存課(☎0744・32・4404)。
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