かわいいけれど、アライグマも要注意 奈良県が外来647種リスト初作成
県内に生息する外来種の状況や問題について普及啓発を図ろうと、県は「奈良県外来種リスト 奈良県で注意すべき動植物」を初めて作成した。県レッドデータブック改訂委による検討、調査体制のもと、計647種の外来種を掲載。今年度中には、県レッドデータブックの改訂版や県野生生物目録も策定するとしている。
外来種は、もともとその地域に生息・生育していなかった生物が人間の活動により他地域から入り、野生化(定着)したものを指す。日本国内では海外起源の外来種が2千種以上も生息・生育しているとされ、中には在来種の生態系を脅かし、本来の環境を変化させてしまう可能性があるものもある。
県が作成したリストでは、原則明治時代以降に人為的に持ち込まれた種を「定着種」と「記録種」に区分して選定。掲載された外来種のうち、最も多いのは「オオキンケイギク」など維管束植物の481種で、昆虫類91種、魚類31種-と続いた。
県景観・自然環境課によると現在、県内で特に被害が問題になっているのは、リストにも掲載されたアライグマ。原産地はカナダ南部やアメリカで、多様な環境で生息が可能なうえ、日本では強力な天敵や競争種はほぼないとみられる。
雑食性のため、農作物被害が甚大で、ヒトにも感染するアライグマ回虫症などの感染症を持っている可能性もある。県内では各調査の結果から、急速に増えつつあると考えられており、県は平成21年から防除対策を実施している。
また、ミドリガメとして出回ったミシシッピアカミミガメは猿沢池(奈良市)などに定着し、在来種のカメの驚異となっていたが、現在は防除対策により個体数は減少しているという。昨夏には荒池(奈良市)などで赤色のアイオオアカウキクサが猛威をふるい、池全体を赤く染めたことがあった。
リストでは外来種対策の「外来生物被害予防三原則」として、外来種を「入れない」、「捨てない」、「拡げない」なども説明。担当者は「問題の実態を知り、理解を深めてもらえれば」と話している。
リストは県内各市町村や公立の図書館、小中高などに約800部配布。問い合わせは県景観・自然環境課(☎0742・27・8757)。
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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)