【奈良で涼】ひんやり酒蔵見学、大人の味わい 大和郡山の中谷酒造
8月下旬に入ってもまだまだ暑い日々。日差しが照りつける日中でもひんやりと涼しい場所が、酒蔵だ。
大和郡山市に現在、唯一残る酒蔵「中谷酒造」は、ペリーの黒船が来航した嘉永6(1853)年創業。中谷正人社長(57)は約20年前、6代目当主に就いた。現在、約10種類の酒を製造しており、中谷さんは「時代に合った味覚を追求してきた」と振り返る。
瓶詰めした日本酒を熟成させるため、酒蔵では最高25度になる温度設定で貯蔵している。敷地内には、江戸時代に酒の原材料となる米を貯蔵した「米蔵」も。事務所入り口には、当家に伝わる元亀年間(1570年)に作られた備前焼の酒壺もあり、連綿と続く酒造りの歴史や文化を感じさせる。
酒蔵見学は中谷さんの講話と蔵見学、試飲販売の3部構成で、所要時間は約90分。中谷さんの長年の経験と巧みな話術に、酒と酒造文化への愛着が一層高まること請け合いだ。
新商品は、桜井市の大神神社境内のササユリから分離した天然の酵母菌「山乃かみ酵母」を使った「三日踊」。甘酸っぱく軽やかな味わいで、果実のような風味を残しているのが特徴だ。
近年、若い世代を中心に人気が回復基調にあるという日本酒。中谷さんは「日本酒は悪酔いするなどといった先入観を持たず、新しい味をいろいろと試してほしい」と話す。蔵を見学し、地酒に舌鼓を打つ〝大人の涼〟を味わうのはいかが。(浜川太一)
中谷酒造(大和郡山市番条町561) 近鉄筒井駅から徒歩約20分。酒蔵見学(体験無料)は電話での事前予約が必要。1回の見学につき、定員は30人以内。試飲販売は常時、受け付けている。日曜祝日と盆、正月を除き午前9時~午後5時営業。問い合わせは中谷酒造(☎0743・56・2296)。
ホームページはhttp://www.sake-asaka.co.jp/
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